性別や年齢に関係なく発症─―円形脱毛症
性別や年齢に関係なく発症─―円形脱毛症
2021.08.06広告
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突然、髪の毛が抜けてしまう円形脱毛症。病名のとおり、コインのように円形に脱毛するだけでなく、広範囲にわたって脱毛するタイプもあります。重症化すると治りにくくなることがあるため、早めに皮膚科専門医に相談することが大切です。
2箇所以上におこったり、頭部以外の体毛まで抜けたりすることも
円形脱毛症は、突然髪の毛が抜ける病気で、性別や年齢に関係なく発症します。
円形の脱毛が1箇所におこる「単発型」が基本ですが、他にも、2箇所以上におこる「多発型」、頭部全体が脱毛する「全頭型」、うなじや耳の周囲などの生え際に沿って脱毛する「蛇行(だこう)型」、眉毛やわき毛など全身の体毛まで脱毛する「汎発(はんぱつ)型」、一気に頭部全体が脱毛してすぐに改善する「急性びまん性全頭型」など、さまざまなタイプがあります。
免疫機能の異常により発症
円形脱毛症は、免疫機能の異常が原因でおこる自己免疫疾患の1つと考えられています。本来、免疫細胞の1つであるTリンパ球は、細菌やウイルスなどの異物が体内に入ってきた際に攻撃し、体を守る役割を担っています。
ところが、Tリンパ球に異常がおこると、異物ではない毛根部の組織を異物と勘違いして攻撃してしまいます。その結果、毛根部の組織に炎症がおこり、脱毛してしまうというわけです。
免疫機能に異常がおこる誘因としては、ストレスや睡眠不足、過労、かぜ、ウイルス感染、胃腸炎、出産、けがなどが挙げられます。患者の2割程度には家族歴があることから、円形脱毛症になりやすい体質も関係していると考えられています。
また、円形脱毛症を発症すると、爪の表面に小さなへこみができ、デコボコになることが多くみられるため、こうした爪の変化も診断の手掛かりとなります。
治療法は重症度などにより異なる
軽症の円形脱毛症の治療では、ステロイド薬やカルプロニウム塩化物などの塗り薬、グリチルリチンやセファランチンなどののみ薬が用いられます。そのほか、光線療法(脱毛部に特殊な紫外線をあてる)、ステロイド局所注射(脱毛部にステロイド薬を直接注射する)、雪状炭酸圧抵療法(脱毛部をドライアイスで軽く冷却する)などを行う場合があります。
一方、脱毛範囲が広く、半年以上続いている場合には、局所免疫療法という選択肢もあります。これは、脱毛部に特殊な薬品を塗り、人為的に軽いかぶれをくり返しおこさせることで脱毛を改善する治療法です。この治療法による有効率は60%以上ですが、健康保険は適用されません。また、人によっては副作用が現れる場合があるので、担当医と十分に相談することが大切です。