重症化すると命の危険も…急性すい炎
重症化すると命の危険も…急性すい炎
2021.07.02広告
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突然、上腹部に激しい痛みが起こる急性すい炎。主にアルコールの飲みすぎや胆石が原因で発症し、重症化すると命に関わる危険もあります。急性すい炎は再発しやすく、再発をくり返していると慢性すい炎に移行する場合があるので、適切な治療を受けることが大切です。
すい液がすい臓自体を溶かし、炎症を起こす
すい臓は、長さ15~20㎝ほどの細長い臓器で、胃の裏側の背中に近いところに位置しています。すい臓の主な働きは、消化液であるすい液の分泌と、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌です。
食べたものが胃から十二指腸に送られると、すい液がすい管を通って十二指腸に送られ、すい液に含まれる消化酵素の働きにより消化・吸収されます。通常、すい液内の消化酵素はすい臓内では働かず、十二指腸に送られて初めて活性化します。
急性すい炎は、何らかの原因により、すい臓内で消化酵素が活性化してしまい、すい臓自体を溶かして炎症を引き起こしてしまう病気です。
アルコールと胆石が2大原因
主な症状は、みぞおちからへそにかけての激痛で、すい臓が背中に近い位置にあることから、背中や腰に痛みを感じることもあります。痛みは持続的に起こり、体を丸めると痛みが和らぐことがあります。
急性すい炎の主な原因の1つが、アルコールの飲みすぎです。アルコールを分解する際にできるアセトアルデヒドや、胃酸の増加に伴って分泌量の増えたすい液がすい臓を刺激するためと考えられています。
もう1つの原因は、胆石です。消化液の1つである胆汁は、すい液と同じ出口から十二指腸に送られます。胆石は胆汁の成分が固まったもので、この出口部分に胆石が詰まると、すい液の流れがせき止められ、急性すい炎が起こります。
治療の基本は、絶食、十分な輸液、薬物療法
急性すい炎の診断では、採血や採尿により、血液中や尿中の消化酵素の濃度を調べます。次いで、腹部超音波、CT、MRIなどの画像検査ですい臓の状態を観察します。
急性すい炎と診断されたら、すぐに入院して治療が行われます。治療は、絶食、十分な輸液(点滴)、薬物療法が基本となります。これらにより痛みを和らげ、すい臓の安静を保ち、重症化を防ぎます。
急性すい炎は再発しやすく、再発をくり返していると慢性すい炎に移行しやすくなります。慢性すい炎となると完治は望めず、すい臓がんのリスクをも高めてしまいます。急性すい炎の再発を防ぐには、アルコールが原因の場合は禁酒し、胆石が原因の場合は胆のう摘出を検討します。その他、暴飲暴食や脂質の多い食事を避ける、喫煙者は禁煙することも大切です。