COPD―─新型コロナ重症化予防のためにも、早めに対策を

COPD―─新型コロナ重症化予防のためにも、早めに対策を

COPD―─新型コロナ重症化予防のためにも、早めに対策を

2021.05.20

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COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、主に喫煙が原因で発症する慢性の呼吸器の病気です。肺胞の破壊により呼吸機能が著しく低下し、息切れなどで日常生活に支障をきたすようになります。また、COPDにかかってしまうと、新型コロナウイルス感染症による肺炎が重症化しやすくなるため、十分な注意が必要です。

進行すると安静時にも息苦しさを感じる

COPDは、たばこなどに含まれる有害物質を慢性的に吸い込むことにより、肺の呼吸機能が低下してしまう病気です。

肺は、気管から枝分かれした気管支やその先端にある肺胞などで構成されていて、気管支は空気の通り道となり、肺胞では酸素と二酸化炭素のガス交換が行われています。

喫煙を続けていると、たばこに含まれる有害物質により肺胞が破壊され、肺に慢性的な炎症がおこります。すると、気管支の内側が狭くなったり、肺機能そのものの低下により、酸素を十分に取り込むことができなくなっていきます。

肺は炎症による痛みを感じにくいため、初期には自覚症状がほとんど現れず、病気に気づかないケースも少なくありません。しかし、そのまま放置していると、階段や坂道を上るときなどに息切れするようになります。さらに進行すると、平地を歩いていても息切れするようになり、ついには安静時にも息苦しさを感じるようになり、さらに重症化すると携帯用の酸素ボンベをに日常的に使用しなくてはならなくなります。

また、かぜでもないのにせきや痰が慢性的に出ることもあります。

呼吸機能が一度障害を受けると元には戻らない

COPDの主な原因は喫煙ですが、副流煙を吸い込む受動喫煙も原因となります。

COPDが怖いのは、一度壊れた肺胞は回復できないため、障害を受けた呼吸機能は元には戻らないことです。また、COPDになると気道の免疫力が低下するため、かぜやインフルエンザ、さらには新型コロナウイルス感染症にかかりやすくなるだけでなく、重症化しやすくなるので要注意です。

禁煙をサポートする保険適用のアプリも

COPDの治療では、主に吸入用の気管支拡張薬が用いられます。そのほか、喀痰(かくたん)調整薬、抗菌薬などを併用する場合もあります。

こうした薬物療法に加え、もっとも重要なのが禁煙することです。長年喫煙していた人であっても、禁煙した段階から呼吸機能の低下がゆるやかになることがわかっています。

自力で禁煙することが難しい場合には、禁煙外来を受診するのも一案です。2020年12月には、ニコチン依存のある喫煙者に対し、医師が処方する禁煙治療補助用アプリが国内で初めて保険適用されました。こうしたサポートを活用することも検討してみるとよいでしょう。

また、日常的に体を動かす、腹式呼吸を意識的に行うといったことも、肺の負担を減らすことにつながるので、ぜひ心がけましょう。

(家庭の医学大全科ウェブサイト 編集部)