乳幼児に多く起こる、原因不明の病気「川崎病」
乳幼児に多く起こる、原因不明の病気「川崎病」
2021.03.19広告
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1歳前後の子どもの全身の血管に炎症が起こり、発熱、目の充血、発疹といったさまざまな症状が現れる「川崎病」。ときに、狭心症や心筋梗塞といった重い合併症が起こる危険もあるため、早期に適切な治療を行うことが肝心です。
6つの特徴的な症状
川崎病という病名は、1967年にこの病気を発見した川崎富作(とみさく)博士の名前から付けられました。1~2歳の小さな子どもに多く発症する病気です。
特徴的な症状として、①5日以上続く38度以上の高熱、②両目の充血、③発疹、④唇が赤くなったり、舌がいちごのようにブツブツと赤くなる(いちご舌)、⑤手足が赤く腫れる、⑥片側の首のリンパ節が腫れる、といったものが挙げられます。
これらの6つの症状のうち、5つ以上がみられた場合、あるいは4つの症状に加えて冠動脈(心臓に酸素や栄養を送る重要な血管)に異常がみられた場合に川崎病と診断されます(症状が揃わなくても、他の病気が否定された場合は「非定型の川崎病」と診断される)。
血栓ができやすくなり、狭心症、心筋梗塞のリスクが上昇
川崎病の原因はまだ明らかになっていませんが、ウイルスや細菌に感染したのをきっかけに、免疫が過剰に反応し、全身の血管に炎症が起こって発症するのではないかと考えられています。
川崎病が怖いのは、冠動脈が障害されてもろくなり、冠動脈瘤(りゅう)というこぶのようなふくらみができてしまうことです。冠動脈瘤があると血のかたまり(血栓)ができやすくなります。その結果、血管内腔が狭くなって血流が悪くなる狭心症、さらには血栓によって血管がふさがれてしまう心筋梗塞を引き起こすリスクが高くなってしまうのです。
早期治療で冠動脈瘤を防ぐことが重要
川崎病の治療では、早期の段階で炎症反応を抑え、冠動脈瘤ができないようにすることが重要です。一般的な治療法では、アスピリンと免疫グロブリンという薬が用いられます。
アスピリンは内服薬で、血管の炎症を抑えたり、血液を固まりにくくして血栓を予防したりする効果があります。一方、免疫グロブリンは点滴用の薬で、全身の炎症を抑えて冠動脈瘤ができるのを防ぐ効果があります。
これらの治療法で効果がみられない場合は、ステロイド薬や抗TNF-α薬を用いたり、血漿交換療法という治療が行われる場合もあります。
治療により症状がおさまっても、冠動脈瘤を予防するため、アスピリンなどの薬を1~3カ月間服用し続けることがあります。
その後も、発症から5年くらいは、半年から1年に1回、定期的な検査を受ける必要があります。とくに、冠動脈瘤が残っている場合は、定期的に診察や検査を受け、主治医とよく相談することが大切です。