遺伝的要因による疾患

22q11・2欠失症候群

22q11・2けっしつしょうこうぐん
22q11.2 deletion syndrome

初診に適した診療科目:小児科

分類:遺伝的要因による疾患 > 血液・免疫系の疾患

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どんな病気か

 22q11・2欠失症候群は、特徴のある顔つき(眼間解離、眼裂狭小、はれぼったい眼、小さい鼻、扁平な鼻根部、小さい口、低い位置の耳介など)、口蓋裂・軟口蓋閉鎖不全、胸腺低・無形成、先天性心疾患(ファロー四徴症、心室中隔欠損症、心房中隔欠損症、総動脈幹症、大動脈離断症など)、低カルシウム血症などの症状を特徴とする疾患です。口蓋裂・軟口蓋閉鎖不全に伴う鼻声を認め、胸腺の低・無形成に伴う免疫不全のため、上気道感染症や中耳炎、気管支炎、肺炎などの呼吸器系の感染症を繰り返すことがあります。

 これらの特徴的な症状以外に、精神運動発達遅滞、言語発達遅滞、精神障害(統合失調症やうつ病など)、難聴、鎖肛、鼠径ヘルニア、腎尿路奇形、低身長、血小板減少、自己免疫疾患など、さまざまな症状を認めます。

原因は何か

 22番染色体長腕の一部(22q11・2部位)が欠失することが原因で発症し、その頻度は、約4000〜5000人に1人といわれています。常染色体優性遺伝性疾患ですが、多くの場合突然変異で起こります。約10%で両親のいずれかが同じ欠失をもっています。しかし、親子、兄弟姉妹で同じ欠失をもっていても、症状が大きく異なる場合がしばしばあります。

症状の現れ方と診断

 新生児期〜乳児期には先天性心疾患、免疫不全、低カルシウム血症や口蓋裂が、幼児期〜学童期には精神運動発達遅滞、特徴のある顔つき、構音障害が、思春期〜成人期では精神障害、子どもが本症と診断された場合、などが診断のきっかけとなります。

 本症が疑われた場合、FISH法を用いた染色体検査で染色体22q11・2の欠失を確認することにより診断できます。

治療の方法

 先天性心疾患に対しては手術あるいは内科的治療を、口蓋裂・軟口蓋閉鎖不全に対しても手術を行います。発達の遅れが認められれば、できるだけ早めに、症状に合った療育を始めることが望ましいです。

 患者さんによって認められる症状が異なっており、症状に応じて総合的に対応することが重要です。

(神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学教授 松尾雅文)

(神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学助教 八木麻理子)