食中毒

そのほか

そのほか
Other

分類:食中毒 > 自然毒などによる食中毒

広告

広告

 魚類では、ブダイ科のアオブダイおよびハコフグ科の魚の肝臓に含まれるパリトキシン様毒成分により筋肉痛、関節痛、ミオグロビン尿症などが、タウエガジ科のナガズカの卵巣に含まれるジノグネリンにより胃腸障害(嘔吐、下痢、腹痛)が引き起こされます。前者では死亡例もあります。そのほか、ギンダラ科のアブラボウズは筋肉に多量のトリグリセリドを、クロタチカマス科のバラムツおよびアブラソコムツは筋肉に多量のワックスを含み、食べると下痢が起こります。また、ハタ科のイシナギの肝臓はビタミンA過剰症の原因になります。

 二枚貝による中毒としては、PSP、DSPによる中毒のほか、嘔吐、腹痛、下痢に加えて記憶障害という特異な症状を伴う中毒(記憶喪失性貝毒中毒)が知られています。原因毒はシュードニッチア・マルチセリエスなどの珪藻が産生するドウモイ酸です。

 巻貝では、ツブあるいはツブ貝として流通しているエゾバイ科巻貝のヒメエゾボラ、エゾボラモドキなどは唾液腺に毒成分(テトラミン)を高濃度に含み、食後30分〜1時間で頭痛、めまい、船酔い感、酩酊感などの中毒症状が現れます。唾液腺を除去すれば中毒は防止できます。

(東京海洋大学海洋科学部食品生産科学科教授 塩見一雄)