食中毒

シガテラ

しがてら
Ciguatera

分類:食中毒 > 自然毒などによる食中毒

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どんな食中毒か

 熱帯から亜熱帯海域、とくにサンゴ礁海域に生息する魚類を食べることによって起こる致死率の低い食中毒をシガテラと総称しています。日本では南西諸島が中毒海域にあたります。

症状の現れ方

 中毒症状は非常に複雑で、温度感覚異常(水に触れるとドライアイスに触れたような感覚になるシガテラ特有の症状で、ドライアイスセンセーションと呼ばれている)、筋肉痛、関節痛などの神経系障害、下痢、嘔吐などの消化器系障害、血圧低下などの循環器系障害がみられます。とくに神経系障害は長時間続くことが多く、回復に数カ月を要することもあります。

有毒魚の種類と毒性

 シガテラ毒魚は数百種に及ぶといわれていますが、とくに問題となる魚種はウツボ科のドクウツボ、カマス科のドクカマス(オニカマス)、スズキ科のマダラハタ、バラハタ、フエダイ科のイッテンフエダイ、バラフエダイ、ブダイ科のナンヨウブダイ、ニザダイ科のサザナミハギなど約20種です。

 毒性は内臓のほうが筋肉の数倍ほど高いのですが、食中毒の大半は筋肉を食べることによって起こっています。また、毒性は藻食魚よりも肉食魚のほうが、小型魚よりも大型魚のほうが一般に高い傾向があり、同じ魚種でも個体、漁獲場所、漁獲時期により無毒から強毒まで著しい差があり、中毒発生の予知を困難にしています。

 シガテラ毒の主成分は脂溶性のシガトキシンで、そのほかに水溶性のマイトトキシンが知られています。これら毒成分の産生者は、ガンビエルディスカス・トキシカスという有毒プランクトン(渦鞭毛藻)です。

(東京海洋大学海洋科学部食品生産科学科教授 塩見一雄)