食中毒

コレラ

これら
Cholera

分類:食中毒 > 細菌性食中毒

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どんな食中毒か

 コレラ菌O1およびO139に汚染された水、魚介類、食品の摂取によって起こる下痢症です。保菌者の便、まれには患者さんの吐物も感染源になる可能性があります。

症状の現れ方

 突然発病し、発熱を伴わず、激しい水様下痢と嘔吐が起こります。水様便は便臭がなく、米のとぎ汁のように見えます。大量の水分と電解質が失われるので、典型的な例では、嗄声(しわがれ声)、無尿、排腸筋などの筋肉のけいれんが起こります。近年はこうした定型例よりも、極めて軽少なもの、あるいは無症状に経過する例のほうがはるかに多くみられます。

検査と診断

 新鮮な排泄便から選択培地を用いてコレラ菌を分離、同定します。

治療の方法

 水分および電解質が大量に失われている場合には、迅速かつ大量な輸液が必要になります。市販の輸液では乳酸加リンゲル液が適当です。経口的輸液としては、1lの飲料水にブドウ糖20・5g、NaCl3・5g、NaHCO3 2・5gおよびKCl1・5gを溶解したものが用いられます。

 抗菌薬による治療は下痢およびコレラ菌の便中排菌期間を著しく短縮させます。ニューキノロン系薬剤、テトラサイクリン系薬剤、エリスロマイシン系薬剤、ST合剤などが用いられます。

病気に気づいた時、予防のために

 下痢が強い場合には医師の診療を受け適切な治療をしてもらう必要があります。胃の切除および胃酸の低下のある人は、症状が重症化する恐れがあります。東南アジアなどのコレラ流行地に出かける場合には、生水、氷などの摂取には注意が必要で、加熱したものを食べることがすすめられます。

(国立感染症研究所所長 渡邉治雄)