感染症

鞭虫症

べんちゅうしょう
Trichuriasis

初診に適した診療科目:内科

分類:感染症 > 寄生虫・原虫で起こる感染症

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どんな感染症か

 鞭虫は長さが4㎝ほどで、主に盲腸に寄生しています。頭のほうが細くなっていて鞭のように見えるのでこの名がついています。国内では数が減っていますが、大腸内視鏡検査で偶然発見されることがあります。

 成熟した虫卵を飲み込むと感染しますが、便のなかに排出された虫卵が感染可能になるまでに外界で2〜4週を要するため、普通はヒトからヒトへの直接の伝染はありません。寿命は1〜3年といわれています。

症状の現れ方

 卵を飲み込んでから約3カ月で成熟します。20匹以下の少数寄生では自覚症状はありませんが、200匹を超えるような場合は下痢・腹痛、粘血便などが現れ、とくに夜中に便意を催すことが特徴的です。

 重い鞭虫症では、直腸が肛門から脱出してしまう、いわゆる脱肛になることもあります。

検査と診断

 便のなかに虫卵を見つけることが確定診断になります。大腸内視鏡検査で偶然見つけた時などでは、虫の形態から診断します。

治療の方法

 駆虫薬(メベンダゾール)の内服で治ります。ただし、この薬は胎児に影響するので、妊婦や妊娠の可能性のある女性には使えません。

病気に気づいたらどうする

 軽い感染なら症状はありませんが、前述した症状があったら放置せず、内科を受診してください。

(宮崎大学医学部感染症学講座寄生虫学分野教授 丸山治彦)