感染症
鼠咬症
そこうしょう
Rat-bite disease
初診に適した診療科目:内科 外科
分類:感染症 > 細菌・ウイルスなどによる感染症/全身性、その他
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どんな感染症か
鼠咬症はネズミ、とくにラットに咬まれることで起こる感染症です。非常にまれな病気で、病原体はモニリホルム連鎖桿菌と鼠咬症スピリルムという2種類の細菌です。
モニリホルム連鎖桿菌による鼠咬症は、ラット以外にもマウスやリス、あるいはこれらの齧歯類を補食するイヌやネコに咬まれて発症することもあります。鼠咬症スピリルムの場合は、ほとんどはラットが原因です。
ごくまれですが、汚染された水やミルクを介した集団発生もあります。
症状の現れ方
モニリホルム連鎖桿菌の感染の場合は、通常3〜5日の潜伏期ののち、突然の悪寒、回帰性を示す発熱(上がり下がりを繰り返す)、頭痛、嘔吐、筋肉痛などインフルエンザのような症状で発症します。
90%以上の患者さんに、暗黒色の麻疹(はしか)のような発疹が四肢の内側や関節の部位に現れますが、数日で消えます。また、痛みを伴う多発性関節炎を起こします。合併症としては心内膜炎、膿瘍の形成、肺炎、肝炎、腎炎、髄膜炎などがあります。
鼠咬症スピリルムでもほぼ同様ですが、関節炎を伴うことはほとんどありません。
検査と診断
臨床的には診断は困難なので、実験室診断に頼らざるをえません。患部あるいは血液などの体液から、病原菌を証明することで診断します。モニリホルム連鎖桿菌は人工培地で培養できますが、近年はPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法で遺伝子レベルの診断も可能になってきています。私たちの研究室で行った調査では、国内で捕獲されたドブネズミの92%、クマネズミの58%が陽性でした。
一方、鼠咬症スピリルムは人工培地での培養は成功していないので、動物へ接種したのち顕微鏡観察で菌の証明をします。
ペスト、野兎病、結核、猫ひっかき病、パスツレラ症、回帰熱、ブルセラ症、レプトスピラ症、淋病、マラリアなどとの区別が必要です。
治療の方法
ペニシリンが第一選択薬ですが、テトラサイクリン、ドキシサイクリンも有効です。
病気に気づいたらどうする
ラットなどの齧歯類に咬まれた場合は、すみやかに傷口を消毒する必要があります。医療機関を受診し、ネズミなどに咬まれたことを告げ、適切な処置を受けてください。