感染症
コレラ
これら
Cholera
初診に適した診療科目:消化器科 内科 胃腸科
分類:感染症 > 細菌・ウイルスなどによる感染症/胃・腸
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どんな感染症か
コレラ毒素を産生するコレラ菌によって起こる急性胃腸炎です。菌に汚染された水や、加熱不十分な魚介類の飲食により感染します。現在では海外旅行でかかってくる人が大部分ですが、輸入食品を介して食中毒として発生することもあります。発展途上国では日常的に流行しており、WHO(世界保健機関)は検疫伝染病として監視していましたが、規則改正により2007年より対象からのぞかれました。
1992年にはインドで新型コレラが発生し、日本にも持ち込まれました。感染症法では、国内でも発生状況の監視が必要な3類感染症に指定されています。
症状の現れ方
典型的な場合には、2〜3日の潜伏期間ののち、下痢と嘔吐で突然発病します。米のとぎ汁のような大量の下痢便が何回も出て、急激に体液を失い、脱水症状が現れます。腹痛はなく、体温はむしろ低下します。眼球が陥没し、声がかすれ、皮膚がしわしわになり、さらに進行すると意識障害やけいれんなどがみられ、死に至る場合があります。
腹痛や発熱がないため、医療機関への受診が遅れる傾向があります。最近ではほとんどが軽症例ですが、高齢者、胃の手術後、胃潰瘍薬の服用などで胃酸が十分でない場合には、症状が重くなる傾向があります。
検査と診断
下痢や嘔吐がひどい時は受診してください。
便からコレラ菌を検出し、コレラ毒素をもっていることがわかった段階で診断されます。検査には少なくとも2〜3日かかります。診断が確定したら医師は保健所に届け出ます。血液や尿の検査所見は脱水の程度により異なります。
治療の方法
治療は輸液により全身状態を改善することと、抗菌薬により除菌を行い、下痢の期間を短縮させ、感染拡大を防止することです。
とくに大切なのは輸液で、嘔吐や下痢がひどい場合には乳酸リンゲル液を静脈内に点滴で注入します。脱水が強い場合には1日に10l以上の輸液が必要になることがあります。下痢がひどくなければ経口輸液として、スポーツ飲料を1日2〜4l飲用します。スポーツ飲料には薄い糖分と塩分が入っているので、腸から水分が吸収され、脱水に効果があります。
抗菌薬は、下痢期間短縮、早期排菌停止に効果があります。ニューキノロン系薬、テトラサイクリンまたはミノサイクリンを短期間使います。子どもでこれらの薬が使えない場合には、WHOはエリスロマイシンを推奨しています。
予防のために
菌は便のなかに排泄されるので、患者さん自身が手洗いを励行すれば他人への感染を予防できます。患者さんが排泄の介助を必要とする場合には、介助者が手洗いを励行します。
ワクチンはありますが、その効果は十分とはいえず、海外での飲食物に注意するほうが賢明です。