感染症

真菌性眼内炎

しんきんせいがんないえん
Fungal endophthalmitis

初診に適した診療科目:眼科

分類:感染症 > 細菌・ウイルスなどによる感染症/眼・耳・鼻・のど

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どんな感染症か

 中心静脈高カロリー輸液(IVH)が使用されるようになってから、真菌性眼内炎が増加し、その原因の大部分がカンジダ・アルビカンスといわれています。患者さんの全身状態が悪いことや免疫能の低下などから、眼科受診が遅れて失明に至ることもあり、注意が必要です。

症状の現れ方

 発病の初期は、自覚症状がほとんどありません(時に軽い飛蚊症を訴える)。しかし、この時期に眼科検査を行うと、前房や硝子体に炎症細胞が、眼底には小円形の滲出斑が認められます。

 進行すると、滲出斑は増加し、網膜出血もみられるようになり、飛蚊症が増加したり、かすんで見える霧視を自覚するようになります。さらに進行すると、硝子体の混濁が強くなり、眼痛が現れます。やがて、眼底は硝子体混濁のため見えにくくなり、前房蓄膿や続発性緑内障が現れます。

検査と診断

 大部分は、病歴や症状、所見からほぼ診断することができますが、硝子体液を採取して、塗抹標本や培養で真菌を検出することが確定診断に結びつきます。真菌血症の検出、カテーテル先端からの真菌分離なども診断の一助になります。

治療の方法

 眼内炎の病期にもよりますが、まず保存的に抗真菌薬を投与します。眼底が比較的よく見えるようになるまでは、保存療法を中心に治療を行いますが、進行するようであれば、硝子体手術を併用しなければなりません。水晶体切除も行い、周辺部まで十分に硝子体を切除するのがよいといわれています。

病気に気づいたらどうする

 必ず、眼科専門医を受診してください。

関連項目

 飛蚊症(コラム)

(近畿大学医学部眼科学主任教授 下村嘉一)

飛蚊症

 飛蚊症はよくある症状で、心配になって眼科を受診する人もたくさんいます。しかし、大半はとくに病気とは関係がないものです。

 普通の飛蚊症は、硝子体のにごりが網膜に投影されて見えるもので、大人では多かれ少なかれ誰でもあるといっていいものです。硝子体は透明な組織とされていますが、完全に透明というわけではないからです。年齢とともに、そして近視が強いほど、硝子体には繊維の塊のようなにごりが出やすくなります(図48‐a)。

 飛蚊症は、晴れた空のように明るい背景、白っぽい背景でよく見えます。また、後部硝子体剥離が起こると、視神経乳頭の部分からはがれた厚くてリング状の後部硝子体皮質(ワイスリング)が飛蚊症の原因になります(図48‐b)。

 この場合、輪状ないし楕円状の濃い影が視野の中心あたりを縦横に動きまわるので相当気になるようですが、これもとくに病気とはみなされません。「何とかしてほしい」という人もいますが、「どうにもなりません」といって納得してもらうしかありません。そのうち、あまり気にならなくなるものです。

 飛蚊症を訴えて受診する人の大半が病的ではない、というのは眼科医が共通して抱いている認識です。しかし、時に飛蚊症は重大な病気のサインになります。

 網膜剥離では、飛蚊症が前駆症状になることがめずらしくありません。硝子体の牽引に伴って網膜に裂孔ができる時、必ず網膜の血管は破綻して出血します。破綻する血管の太さや性質で量は違いますが、多かれ少なかれ出血が起こり、眼球の内部、硝子体腔へと拡散します。その出血が飛蚊症として自覚されるわけです(図48‐c)。この場合の飛蚊症は、しばしば「墨を流したような」と形容されます。

 また網膜剥離では、飛蚊症と相前後して光視症(ぴかぴか光って見える、光が走るなどの症状)を自覚することもあります。光視症は、網膜が強く引っ張られるために起こる異常放電が原因と考えられています。顔面の打撲などで「眼から火が出る」というのがありますが、それも同じ理屈です。

 墨を流したような飛蚊症、光視症を自覚したら、ただごとではないと思ったほうがよいでしょう。早急に眼科医に受診する必要があります。

(前帝京大学医学部附属溝口病院眼科教授 河野眞一郎)

図48 飛蚊症の原因 図48 飛蚊症の原因