感染症

急性出血性結膜炎(アポロ病)

きゅうせいしゅっけつせいけつまくえん(あぽろ病)
Acute hemorrhagic conjunctivitis (Apollo disease)

初診に適した診療科目:眼科

分類:感染症 > 細菌・ウイルスなどによる感染症/眼・耳・鼻・のど

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どんな感染症か

 エンテロウイルス70、あるいはコクサッキーウイルスA24変異株の感染によって発症します。

 日本では、1971〜72年に最初の流行が起こり、そのころ、アメリカのアポロ宇宙船が月面着陸をしたので、アポロ病という名がつけられています。病原ウイルスは1971年に同定され、のちにエンテロウイルス70と命名されました。コクサッキーウイルスA24変異株は、日本では1985年に沖縄で初めて報告されました。

症状の現れ方

 潜伏期間は1〜2日といわれています。流涙、眼脂(めやに)、充血、眼瞼(まぶた)のはれなどの症状で始まり、眼脂は最初は粘液膿性ですが、第2病日以降、さらさらの漿液線維素性になります。球結膜下出血が最も特徴的な所見です。

 耳前リンパ節のはれ、圧痛(押すと痛い)が現れますが、前述した流行性角結膜炎に比べると眼瞼結膜の濾胞(小さなぶつぶつ)形成は軽度です。角膜には、発病初期に点状の上皮性角膜炎が起こり、これが眼痛の原因といわれています。

検査と診断

 大部分は、症状と所見からほぼ診断することができますが、中和抗体価測定による血清学的診断が主として行われています。結膜をこすってとる擦過物でウイルス抗原やウイルス核酸を検出する方法も有用です。

治療の方法

 有効な抗ウイルス薬はありません。対症療法として、細菌感染防止の目的で抗菌薬を点眼します。ステロイド薬の点眼は不要です。

病気に気づいたらどうする

 眼科専門医を受診してください。

(近畿大学医学部眼科学主任教授 下村嘉一)