眼の病気
硝子体混濁
しょうしたいこんだく
Vitreous opacity
初診に適した診療科目:眼科
分類:眼の病気 > 硝子体の病気
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どんな病気か
硝子体は本来、血管のない透明な組織ですが、さまざまな原因で硝子体ににごりが生じて、光がさえぎられて、網膜にうまく届かなくなるので、飛蚊症・霧視・視力低下などを起こします。
原因は何か
硝子体混濁の原因はさまざまですが、ぶどう膜炎などの炎症性疾患が最も頻度の高い原因です。炎症性疾患には、ベーチェット病・サルコイドーシスなどの非感染性の疾患と、真菌性眼内炎・桐沢型ぶどう膜炎(急性網膜壊死)・外傷後細菌性眼内炎などの感染性の疾患があります。
中高年の硝子体混濁のなかには、ぶどう膜炎に類似した眼症状を示す悪性疾患、いわゆる仮面症候群のこともあるため注意が必要です。
症状の現れ方
疾患にもよりますが、感染性のものは急性の経過をとることが多く、非感染性のものは比較的ゆっくりした慢性の経過をとるものが多い傾向にあります。仮面症候群のなかには、全身症状より先に、眼の症状を示すこともあります。
検査と診断
治療方針を決めるうえでも、硝子体混濁の原因を特定することは重要です。しかし、硝子体混濁が高度の時は、通常の眼底検査をしても混濁にはばまれて眼のなかの状況が明らかでないことが多く、原因の特定は困難です。そこで、超音波断層検査や光刺激による網膜の電気的な反応を検査して、網膜の状態を調べたり、血液検査や胸部X線検査、ツベルクリン検査などを行って全身疾患の有無を調べて原因を探ります。場合によっては、内科や呼吸器科など眼科以外の科に受診してもらうこともあります。
最近では、硝子体の混濁を手術によって直接取り、混濁中の細胞などを調べることで原因を特定することも行われます。また、他眼の状態も参考になります。
治療の方法
真菌性眼内炎には抗真菌薬投与、桐沢型ぶどう膜炎には抗ウイルス薬投与といった混濁の原因疾患の治療が基本です。しかし、非感染性のものでは、原因疾患の特定は容易でないことも多く、主に対症療法として、ステロイド薬や免疫抑制薬の投与を行います。ステロイド薬は、症状の程度や原因によって、点眼・結膜下注射・テノン嚢下注射・内服・点滴などで投与します。
最近では、硝子体生検によって原因を特定することを目的にした診断的硝子体手術のほか、硝子体混濁を手術的に除去して症状の改善を図ろうとする治療的硝子体手術も行われています。
病気に気づいたらどうする
硝子体混濁が強くなってからでは、眼底検査をしても網膜の状態がよくわからず、原因の特定が難しくなることがあるので、すみやかに眼科を受診します。
関連項目
ぶどう膜の病気、後部硝子体剥離(コラム)、硝子体出血、網膜剥離
後部硝子体剥離
後部硝子体剥離は、普通は硝子体の加齢性変化として起こります。多くの場合、無害で単なる老化現象といえるのですが、時に網膜剥離の発生に関わります。中高年者に起こる網膜剥離は、かなりの割合で後部硝子体剥離が引き金になっていると考えられます(図46)。
網膜と硝子体は眼底のほぼ全体で接しています。大部分ではゆるく接着していますが、部分的に強く接着している場所や病的に癒着している場所があります。網脈絡膜の変性や瘢痕がある部分では病的な癒着がとくに強く、また正常でも血管の上ではいくぶんか強く癒着しています。後部硝子体剥離が起こる時、癒着がある部分では網膜が強く引っ張られて引き裂かれます。後部硝子体剥離は眼底の中心から始まり、周辺部へと広がっていきます。そのため、裂孔は眼底の中心に頭を向けた弁状になることが多いのです。
後部硝子体剥離は裂孔の形成に関わるだけでなく、その有無は網膜剥離の性質にも大きく影響します。若年者に多い後部硝子体剥離を伴わない網膜剥離は、進行が遅い、丈が低い、網膜下の液は粘稠(ねばりけがある)で、剥離した網膜はほとんど動かないという特徴があります。
一方、後部硝子体剥離を伴う網膜剥離は、進行が速い、丈が高い、網膜下の液はさらさらしている、網膜は眼球の動きによって波打つなどの特徴がみられます。