「猫ひっかき病」は猫のノミが媒介する細菌が原因の感染症

「猫ひっかき病」は猫のノミが媒介する細菌が原因の感染症

「猫ひっかき病」は猫のノミが媒介する細菌が原因の感染症

2023.05.19

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猫ひっかき病は、猫にひっかかれたり、かまれたりすることによって発症する感染症の一種です。自然に治ることも多いですが、免疫不全の人や心臓弁膜症がある人は重症化する恐れがあるため、注意が必要です。

傷口から細菌に感染することで発症

猫ひっかき病は、猫のノミが媒介するバルトネラ・ヘンセレという細菌が原因で起こる感染症です。猫にひっかかれたり、かまれたりすることにより、傷口からバルトネラ・ヘンセレに感染することで発症します。このほか、菌を保有する猫に傷口をなめられたり、猫のノミに刺されたりすることで発症することもあります。

夏から初冬に多く発症している理由として、猫につくノミの繁殖時期であることや、春に生まれた子猫が外を出歩き猫の間で感染が広がることが関係していると考えられています。

免疫不全や心臓弁膜症がある人は要注意

傷を負ってから3~10日以内に傷が赤く腫れ、さらに2週間以内にリンパ節の腫れや発熱などの症状が起こります。リンパ節の腫れは傷口に近い部分に現れるため、手の傷であればわきの下のリンパ節、足の傷であれば鼠径部のリンパ節が腫れ、なかには鶏卵くらいの大きさにまで腫れ上がるケースもあります。

微熱が長く続くことが多く、全身の倦怠感や頭痛、関節痛、吐き気、食欲不振などを伴う場合もあります。

一般的に、猫ひっかき病は良性疾患であるため、自然治癒することが多いですが、治るまでに数週間から数カ月かかることもあります。

また、免疫不全の人は重症化する場合があるほか、心臓弁膜症がある人は心内膜炎を併発する恐れがあります。一部の人では脳症やけいれんを起こすこともあり、重度の脳症では後遺症が現れたり、命に関わったりする場合もあるため、十分な注意が必要です。

猫にできるだけ触れないことが最善の予防策

猫ひっかき病は、早期に治療を開始するほど早く治る可能性が高いため、猫にひっかかれたり、かまれたりしたあと、発熱やリンパ節の腫れなどの症状がみられたら、すみやかに受診するようにしましょう。治療には、主に抗生剤が用いられます。

猫ひっかき病を予防するには、猫に触れないことが最善策であり、とくに野良猫はほかの病原菌をもっている可能性もあるため、できるだけ触れないことが重要です。

猫を飼っている場合は、むやみに外に出さない、定期的にノミを駆除する、猫の爪を切っておく、食べ物を口うつしで与えるなどの濃密な接触は避ける、といったことを心がけましょう。

(家庭の医学大全科ウェブサイト 編集部)