お酒はそれほど飲まないという人も要注意─脂肪肝

お酒はそれほど飲まないという人も要注意─脂肪肝

お酒はそれほど飲まないという人も要注意─脂肪肝

2022.12.02

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脂肪肝は、お酒をたくさん飲むことでおこるイメージがありますが、飲酒習慣のない人であっても脂肪肝になることはめずらしくありません。脂肪肝のなかには、肝炎や肝硬変に進行したり、肝臓がんを発症したりするタイプもあるため、注意が必要です。

飲酒習慣のない人が危険なタイプの脂肪肝になることも

食事でとったエネルギーのうち、消費されなかった分は中性脂肪に変換され、肝臓にたくわえられます。脂肪肝は、この中性脂肪が肝臓に過剰にたまった状態をいいます。

脂肪肝にはいくつかのタイプがあり、アルコールが原因の脂肪肝と、アルコール以外の原因によっておこる脂肪肝の2つに大きく分けられます。アルコール性の脂肪肝が肝硬変や肝臓がんのリスクを上げることはよく知られていますが、非アルコール性であっても肝臓の病気を発症することがあります。

多くは、単なる脂肪肝のままほとんど進行しない「非アルコール性脂肪肝(NAFL:ナッフル)」ですが、なかには肝炎や肝硬変に進行したり、肝臓がんを発症したりするタイプがあります。これを「非アルコール性脂肪肝炎(NASH:ナッシュ)」といいます。

脂肪肝から肝臓がんになるケースが増えている

NASHでは、肝臓が次第に線維化して硬くなり、肝硬変をおこします。肝硬変になると肝臓がんを発症するリスクが高くなりますが、近年は脂肪肝を原因とする肝臓がんが増えていることがわかっています。NASHであっても、病気が進行するまではほとんど自覚症状が現れないため、くれぐれも注意が必要です。

NASHかどうかを診断するためには、肝臓の組織を採取して顕微鏡で調べる肝生検を行う必要があります。ただし、肝生検は体に大きな負担がかかるため、まずは、採血して肝臓の線維化の程度を調べる検査(肝線維化マーカー)などが行われます。

生活習慣を改善し、肥満を解消することが治療の基本

脂肪肝は生活習慣が深く関わっているため、生活習慣の改善が治療の基本となります。食生活では、1日3食規則正しく食べる、腹八分目にする、動物性脂肪や甘いものをとり過ぎない、夕食は控えめにする、極端な低エネルギー食や炭水化物制限は避ける、といったことを心がけます。

また、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を週3~4回、30分以上を目安に行ったり、スクワットや腹筋運動などの筋トレを行うなど、適度な運動を習慣にしましょう。

肥満がある場合は、減量することで脂肪肝も改善することがわかっています。ただし、極端なダイエットは長続きしないばかりか、リバウンドの原因になるため、あせらずに食事と運動で着実に減量しましょう。

(家庭の医学大全科ウェブサイト 編集部)