“何かが下りてくるような違和感”を放置しないで…骨盤臓器脱

“何かが下りてくるような違和感”を放置しないで…骨盤臓器脱

“何かが下りてくるような違和感”を放置しないで…骨盤臓器脱

2021.04.16

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骨盤臓器脱とは、膀胱や子宮、直腸などの臓器が本来の位置よりも下がり、膣から外に出てしまう女性特有の病気です。初期で症状が軽ければ、骨盤底筋を鍛えるトレーニングで症状の改善を期待できます。何かしらの違和感に気づいたら、早めに専門医を受診しましょう。

妊娠・出産、肥満、加齢などが原因に

骨盤の底には、骨盤底(てい)と呼ばれる筋肉群があり、膀胱や子宮、直腸などの臓器を支えるハンモックのような役割を果たしています。しかし、何らかの原因により骨盤底がゆるむと、それらの臓器を支えきれなくなってしまいます。これが骨盤臓器脱です。

骨盤底がゆるむ主な原因として、妊娠・出産、肥満、加齢などがあげられます。妊娠中は胎児の重みで負荷がかかり、出産時には胎児が通過する際に骨盤底の筋肉などが傷つきます。肥満の人は、自身の体重により骨盤底によけいな負荷をかけることになります。また、加齢によっても骨盤底の筋力は低下します。

そのほか、便秘がちで頻繁にいきむ、ぜんそくなどで慢性的にせきをする、重い荷物を持つといったことも、骨盤底のゆるみにつながります。

入浴時やトイレで気づくケースが多い

骨盤臓器脱は、何かが下りてくるような感じがしたり、入浴時やトイレに入ったときに股の間にピンポン玉のようなものが外陰部に触れたりして気づくケースが多くみられます。進行すると排尿や排便がしづらくなるほか、脱出した部分が下着にすれて出血することもあります。

初期の骨盤臓器脱は、骨盤底の筋肉を鍛えるトレーニングにより症状の改善が期待できます。足を肩幅に開いて立ち、ひざを軽く曲げ、お尻の穴をすぼめるイメージで骨盤底の筋肉を引き上げ、5~8秒キープします。これを10回1セットとし、1日5セット行います。

進行したら装具を用いた治療か手術を検討

進行した骨盤臓器脱の治療法としては、装具を用いる方法と手術療法があります。装具による治療では、ペッサリーというリング状の器具を膣内に挿入し、臓器の脱出を抑えます。医療機関で定期的に挿入・交換するほか、自分で着脱する方法もありますが、病状の変化によって最適なサイズも変化するため、定期的に受診することが大切です。

これらの保存療法を行っても改善がみられない場合は、手術が検討されます。手術には、経腟メッシュ手術、腹腔鏡下仙骨膣固定術など、さまざまな方法があります。

それぞれにメリット・デメリットがありますので、専門病院で十分に相談するようにしましょう。

(家庭の医学大全科ウェブサイト 編集部)