外傷

溺水

できすい
Near‐drowning

初診に適した診療科目:小児科 内科

分類:外傷 > その他の外傷・環境障害

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どんな障害か

 溺水とは水中に顔面が没して生じる窒息例のうち、24時間以上生存したものを指します。24時間以内に死亡した場合は溺死として区別されますが、日本では年間5000人を上回る溺水が発生しています。

 溺水は、顔面さえ水中に没していれば、発生します。不慮の事故のほか、自殺を図ったり、殺人を意図した場合も原因として考慮すべきです。

治療の方法

 来院時に意識がはっきりしていて、呼吸・血圧が安定している場合でも、誤嚥性肺炎の発症を考えて経過観察します。

 意識障害がある場合には、呼吸管理を中心にした集中治療がなされますが、脳浮腫への対策が必要になることもあります。

応急処置はどうするか

 手近にある板切れやペットボトル、浮き輪などを用いて、一刻も早く水面に浮き上がらせてください。

 人工呼吸は水中で開始してもいいですが、特別な訓練が必要です。心臓マッサージは陸上に引き上げてから行います。気道に誤嚥された水は急速に吸収されるため、気道の水を排除するための腹部圧迫は行いません。

 すべての溺水者は、脊髄損傷があるものとして対応すべきです。とくに、プールに飛び込んだ時や高速のモーターボート事故などでは頸髄損傷の合併率が高いので、頸部を伸ばしたり体幹をひねらないように注意します。

(大阪府立急性期・総合医療センター副院長 吉岡敏治)