外傷

肋骨・胸骨骨折

ろっこつ・きょうこつこっせつ
Fractured rib, breast bone

初診に適した診療科目:整形外科 呼吸器外科

分類:外傷 > 胸部外傷

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どんな外傷か

 肋骨骨折は、胸部外傷のなかで最も多くみられる損傷形態です。肋骨の折れるメカニズムには2種類あり、ひとつは外力が直接肋骨に作用してその部位が折れるもので(直達外力)、もうひとつは外力が加わった部位から離れた場所で肋骨が折れるものです(介達外力)(図31)。

 前者では肺損傷を、また後者では心・大血管損傷を合併する可能性が高いとされています。一般に、年少者では肋骨に弾性があるため肋骨骨折を起こしにくく、その反対に高齢者では肋骨がもろくなっているため、比較的小さな外力でも簡単に肋骨骨折を起こすことが知られています。

 左右に12対ある肋骨のうち、肋骨骨折の好発部位は第4〜8肋骨で、それより上部の肋骨骨折では胸郭の出口付近の血管損傷を、またそれより下部の肋骨骨折では肝臓、脾臓、腎臓などの腹腔内臓器損傷を、それぞれ合併しやすくなっています。

 また、胸骨骨折は通常、相当大きな外力が前胸部に作用した場合にみられ、胸骨のすぐ裏側にある心臓が、胸骨骨折の際に圧挫され、心挫傷(外力による心臓の損傷)や心破裂を起こすことが知られています。胸骨骨折は一般に横骨折で、骨折部の尾側骨片が頭側骨片の下に潜り込んでいることが多くみられます。

原因は何か

 肋骨骨折は、交通外傷や高所からの墜落などの大きな外力によるもののほか、スポーツ外傷や暴行などによっても発生します。また、まれにはゴルフのスイングに伴って肋骨骨折を引き起こすことがあります。

 一方、胸骨骨折は、野球のボールが飛んできて前胸部に当たったり、自動車運転中の事故でハンドルに前胸部を強打するなど、強い外力が前胸部正中に作用した時に発生します(図32)。

症状の現れ方

 肋骨骨折では、骨折部位に一致した疼痛および圧痛、腫脹、皮下出血が現れ、骨折部を軽く圧迫した時に軋轢音(骨折部で骨がきしむ音)が生じることがあります。また、呼吸運動に伴って疼痛が強まるため、患者さんは骨折部のほうに体を曲げ、呼吸の時に患部の胸郭があまり動かないようにする姿勢をとることが多くなります。

 胸骨骨折では、骨折部位に一致した疼痛および圧痛、腫脹、皮下出血が現れるほか、胸骨を上から下へ軽く圧迫した時に骨折部に段差が生じます。

検査と診断

 肋骨骨折や胸骨骨折の多くは、胸壁の触診と胸部単純X線撮影により診断可能です。肋骨骨折では斜位の肋骨X線撮影が、また胸骨骨折では胸骨の側面撮影が、それぞれ診断に有用です。しかし、肋軟骨部の骨折はX線で確認することができず、軽度の肋骨亀裂骨折ではX線上で異常を認めないこともあるので注意しなければならなりません。

 胸骨骨折が疑われたら、必ず医療機関を受診して、骨折の部位と程度の評価はもとより、内臓損傷の有無を確認しておく必要があります。

治療の方法

 単なる肋骨骨折であれば、消炎鎮痛薬の内服、冷湿布の貼布と固定帯による圧迫固定のみで、多くは数週間で軽快します(図33)。肋骨や胸骨の変位が高度な骨折では、時に外科治療(手術など)が必要になることもあります。

応急処置はどうするか

 肋骨や胸骨の骨折では、呼吸運動に伴って胸痛が強まることから、患部に厚手のタオルなどを当て、これを軽く圧迫することで疼痛を軽くすることができます。いずれの骨折も、胸腔内損傷を合併している可能性があるので、救急車を呼んで迅速に医師の診察を受けることが必要です。

(日本医科大学千葉北総病院救命救急センター長・教授 益子邦洋)

図31 肋骨骨折のメカニズムと胸腔内臓器損傷 図31 肋骨骨折のメカニズムと胸腔内臓器損傷

図32 ハンドル外傷による胸骨の骨折 図32 ハンドル外傷による胸骨の骨折

図33 肋骨骨折の固定例 図33 肋骨骨折の固定例