外傷

疲労骨折

ひろうこっせつ
Fatigue fracture

分類:外傷 > よくみられる外傷

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どんな障害か

 疲労骨折とは、通常1回の負荷だけでは骨折を起こさない程度の外力が、正常な骨の同一部位に反復して加わることによって骨組織の結合の中断を起こし、最後には明らかな骨折を生じるものとされています。

よく起こる疲労骨折

 スポーツによる疲労骨折の発生部位は疾走やジャンプを繰り返すスポーツ種目における下肢の荷重骨(脛骨、腓骨、大腿骨、骨盤、中足骨、足根骨など)、とくに脛骨に多発し、全疲労骨折の約50%を占めるとされています。下肢骨以外の種目に特異性の好発部位としては、ゴルフ・ボート・野球の肋骨、野球・やり投げの肘頭、剣道の鎖骨、ソフトボールの尺骨などがよく知られています。

検査と診断

 主な症状は罹患部の疼痛ですが、その診断は必ずしも容易ではありません。疲労骨折の初期には、単純X線写真には異常所見が認められないことが多いからです。したがって医師は疲労骨折を疑ったら、定期的にX線写真をとって経過を観察します。

 また、有用な補助検査として骨シンチグラフィやMRI検査を行うこともあります。このうち骨シンチグラフィは単純X線写真では認められない異常も100%映し出しますので、疲労骨折診断の決め手とされています。

治療の方法

 疲労骨折の治療は通常保存的に行われます。骨折線が明らかでない場合には、スポーツを休ませるだけのこともあります。しかし、骨折線がある場合にはギプスなどによる外固定を行うのが一般的な治療法です。

 ただし、疲労骨折のなかには難治性のものもあり、こうした例では手術を行うこともあります。

(慶應義塾大学医学部非常勤講師 竹田 毅)