外傷

スポーツ外傷

すぽーつがいしょう
Sports trauma

分類:外傷 > よくみられる外傷

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 上腕骨に発生する投球骨折や腕相撲骨折、手首の有鉤骨骨折、骨盤の裂離骨折などスポーツ活動に特有の骨折もありますが、外傷の形態それ自体については、スポーツ活動によるものと日常生活で起こるものとの間に大きな差はありません。ただし、スポーツの種類によって発生しやすい外傷というものはあります。

よく起こるスポーツ外傷

 アメリカンフットボール・ラグビー・相撲の頸椎損傷や頸部捻挫、ラグビー・アメリカンフットボールの鎖骨骨折や肩鎖関節脱臼そして肩関節脱臼、バレーボール・バスケットボール・ラグビー・サッカーの膝関節靭帯損傷、サッカーの足関節捻挫(外側靭帯損傷)、陸上短距離や野球の肉ばなれ、バレーボール・バスケットボールの突き指などはその好例です。

 なお、アキレス腱の断裂は、普段スポーツをあまりやらない人が草野球や運動会などで急にスポーツをして受傷することが圧倒的に多い外傷です。

 スポーツ選手の場合は、慢性のアキレス腱周囲炎などに続発することが多く、突然断裂することはまれです。野球による突き指や上腕骨の投球骨折も草野球参加者など未熟者に発生することが大半で、訓練された選手に発生することは極めてまれです。

注意すべき特殊なケース

 これらの外傷の具体的な症状や治療法についてはそれぞれの項を参照してもらうとして、外傷のなかには見落とされやすい骨折や異常な経過を示す例もあるので注意が必要です。

 たとえば手首を構成する小さな骨(手根骨)のうち舟状骨や有鉤骨の骨折は手術が必要な例も多いのですが、初期には診断がつきにくく、単に手首の捻挫として治療されているケースも少なくありません。

 また、強度の打撲のなかには、のちに筋肉の一部が骨に変わってしまう(異所性骨化という)例もありますし、下腿の打撲のなかにはコンパートメント症候群といって、はれによる循環障害のために急速に筋肉や神経が壊死に陥るような恐ろしい例もあります(緊急手術が必要です)。

 外傷は初期治療の適否が予後を左右します。したがって経過に少しでも疑問があったら早めに整形外科などの専門医を受診したほうがよいでしょう。

(慶應義塾大学医学部非常勤講師 竹田 毅)