アレルギー疾患
物理アレルギー
ぶつりあれるぎー
Physical allergy
初診に適した診療科目:皮膚科 アレルギー科 皮膚泌尿器科
分類:アレルギー疾患 > いろいろなアレルギー
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どんな病気か
物理アレルギーとは、さまざまな物理的刺激によって引き起こされるアレルギー反応の総称です。刺激には、寒冷、運動、光線、機械的刺激などがあります。
これらの刺激が、寒冷じんま疹、運動誘発喘息、運動誘発アナフィラキシー、食物依存性運動誘発アナフィラキシー、日光じんま疹、光線過敏性皮膚炎、機械性じんま疹などのさまざまな病態を引き起こします。
原因は何か
前述のような種々の刺激によって、アレルゲンによる即時型アレルギー反応と同じように、肥満細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が遊離し、その作用によって気道の収縮やじんま疹症状が生じ、時にはショック症状などが引き起こされると考えられています。食物依存性運動誘発アナフィラキシーでは、特定の食べ物の摂取と運動の重複が原因になります。
症状の現れ方
刺激にさらされたのち、典型的には15〜30分程度でじんま疹や喘息発作などが起こります。
運動誘発喘息は、気管支喘息患者のとくに小児から若年で、いわゆるアトピー体質をもつ人に多く認められ、運動開始後に気道の狭窄が生じて、喘鳴(ぜいぜいという音)や呼吸困難が現れます。運動誘発アナフィラキシーでは、運動開始後に呼吸困難、じんま疹、そして血圧低下などのアナフィラキシー症状が現れます。食物依存性運動誘発アナフィラキシーでは、特定の食物を摂取後に歩行や運動をすると、重いアナフィラキシー症状が現れ、時に致死的になることがあります(コラム)。
検査と診断
いずれの病態・疾患でも、問診が診断のポイントになり、とくに誘因と症状との因果関係について詳しく検証することが最も大切です。また、ほかの原因に基づくアレルギー疾患との区別も重要です。
運動誘発喘息の診断には運動誘発試験を行い、気道の収縮が誘発されるかどうかで判断しますが、簡易的にピークフロー・メーターで測定する方法もあります。血液中の免疫グロブリンE(IgE)抗体検査で、誘因になる食物などに対する抗体が検出されることがあります。
治療の方法
いずれの病態・疾患の場合でも、まず原因を避けることが大切で、補助的に薬物を用います。たとえば寒冷じんま疹では、まず極端な寒冷刺激をできるだけ避けるよう試み、補助的に抗ヒスタミン薬を用います。
運動誘発喘息では、とくに学童や青年期では予防法を適宜組み合わせて、可能なかぎり運動が継続できることが望ましく、たとえば時間をかけて十分にウォーミングアップをすることは予防効果があるとされ、すすめられます。また運動の種類によっては発作が生じにくいものがあり、水泳はその代表格です。
薬物治療としては運動前のβ2刺激薬やクロモグリク酸ナトリウム(インタール)の吸入が有効です。最近は抗ロイコトリエン薬が運動誘発喘息の予防に優れた効果をもつことが証明されましたが、この場合はある程度連用するのが普通です。そのほか、基礎に慢性喘息がある場合は、吸入ステロイド薬を中心とした基礎治療をしっかりと行っておくことが大切です。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーの予防には、原因になる食べ物を避けること、食後3時間は運動を避けること、抗ヒスタミン薬を予防内服することなどが有効と考えられますが、症状が現れた場合には医療機関の受診が必須です。致死的なショック状態になる場合があり、一刻を争うこともあります。
受診後はエピネフリン、ステロイド薬や気管支拡張薬などによる治療が必要になります。
関連項目
食物依存性運動誘発アナフィラキシー(コラム)
食物依存性運動誘発アナフィラキシー
食べ物の摂取後に運動をすると、全身のじんま疹や顔のはれ、のどが詰まる感じ、呼吸困難、下痢などが起こり、時に血圧が低下してショックになるものをさします。
これは、小麦やエビ、カニなどの食物アレルギーが運動で誘発されて、血液中に肥満細胞からヒスタミンが放出されるために起こると考えられています。検査では原因食物に対する免疫グロブリンE(IgE)抗体が血液中にみられます。原因食物によるブリックテストも陽性になります。
食後の運動を避けると予防できますが、運動だけでなく食後の入浴や精神的ストレス、アスピリンなどの解熱鎮痛薬の服用でも症状が誘発されることがあります。小児や若年成人に多くみられますが、中年以降でも起こることがあります。