中毒と環境因子による病気

麻薬・覚醒剤

まやく・かくせいざい
Narcotic and stimulant

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①麻薬中毒

a.急性中毒では意識障害、呼吸抑制、縮瞳(瞳孔がピンホールのように小さくなる)、脈が遅い、血圧や体温の低下がみられます。治療の誤りや自殺目的の使用でみられます。

b.慢性中毒では依存症が中心で、便秘、無月経、気分の変動、不機嫌、意欲の減退、うその言動もみられ、また薬の使用量の増加、頻度の増加がみられます。禁断症状としては、あくび、鼻汁、つばの増加、発汗、鳥肌、不安、下痢、腹痛、不眠、興奮、血圧上昇など“自律神経の嵐”状態が現れます。

②覚醒剤中毒

 中毒では、幻覚、せん妄、錯乱などの強度の精神症状と頻脈、高血圧、体温上昇、けいれんがみられます。死亡の原因は心筋虚血、高体温によります。身体的依存は通常みられません(表9)。

 覚醒剤や麻薬はいったん慢性中毒になると、多くの場合、本人はもちろん家族、知人までもが不幸のどん底に陥ります。さらに治すのが非常に難しく、また苦労して治してもふたたび中毒になることが多い薬です。したがって中毒に陥らぬように自らを律することや、社会的予防体制の確立が重要です。

(産業医科大学学長 和田 攻)

表9 薬の依存症表9 薬の依存症