中毒と環境因子による病気

解熱鎮痛薬

げねつちんつうやく
Antipyretic and analgesic drug

分類:中毒と環境因子による病気 > 中毒による病気

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 体温を調節する脳の中枢に作用して熱を下げ、同様に多くは痛みを鎮める作用をもっています。アスピリン、非ステロイド性消炎薬、アセトアミノフェンなどの中毒がしばしばみられます。

①アスピリン中毒

 成人の経口最小中毒量は8〜10g、致死量は20〜30gとされています。低用量では胃腸障害(胃炎、胃腸管出血)、少し量が多いと嘔吐、耳の聞こえが悪くなる、耳鳴り、中毒量ではけいれん、腎不全などがみられます(図4)。診断には、血中アスピリン濃度の測定が有用です。治療には胃洗浄、催吐、尿のアルカリ化(排泄が容易になります)、血液透析、強制利尿などの方法が用いられます。

 人によっては少量で喘息を起こします(アスピリン喘息)。

②非ステロイド性消炎薬

 現在、極めて多くの薬が用いられています。アスピリンとほぼ同様の中毒症状がみられますが、とくに胃腸出血、肝障害、腎障害、けいれんが注目されています。高齢者では胃出血、腎不全を起こすことが多く、要注意です。

③アセトアミノフェン中毒

 よく効く解熱剤として、総合感冒薬に入っています。量が多いと肝臓で解毒に用いられるグルタチオンが枯渇し、肝臓が壊死を起こして中毒になります。

 まず悪心(吐き気)、嘔吐、発汗、全身倦怠感が現れ、肝機能検査値が異常になり、やがて黄疸、意識障害が現れます。服用後24〜48時間で症状がいったん軽くなることもありますが、やがて悪化するので判断を誤らないように注意します。中毒量は小児で150㎎/㎏程度、大人で200㎎/㎏程度とされています。特殊な解毒薬にN‐アセチルシステインがあります。

 自分勝手にかぜ薬(1包または1錠中、アセトアミノフェンが40〜480㎎含まれている)を多種類、または多量に、長期間服用するのは極めて危険です。

(産業医科大学学長 和田 攻)

図4 アスピリンの血中濃度と病状図4 アスピリンの血中濃度と病状