血液・造血器の病気
無顆粒球症
むかりゅうきゅうしょう
Agranulocytosis
分類:血液・造血器の病気 > 白血病/悪性リンパ腫、その他
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どんな病気か
前項で述べた白血球減少のうち、とくに好中球が著しく減った場合を無顆粒球症と呼びます。なお、顆粒球には好中球、好酸球、好塩基球がありますが、その大半は好中球です。
原因は何か
無顆粒球症の原因で最も多いのは薬剤性で、アレルギーとして起こる場合と骨髄抑制を来す抗がん薬などで中毒性に起こる場合があります。一般に無顆粒球症は薬剤によるアレルギー性の場合を指し、特定の人に発症します。
原因となる薬剤としては、抗甲状腺薬、解熱鎮痛薬、抗生剤、精神安定薬などの頻度が高いのですが、抗血小板薬、抗潰瘍薬、降圧薬など一般臨床で使われているどのような薬剤でも起こり得ます。また、一度無顆粒球症を起こした薬剤は、再投与によってよりひどい症状が出るので注意が必要です。
症状の現れ方
抗がん薬など、本来の作用として骨髄抑制を来す薬剤で治療を受けている場合はしばしば血液検査が行われていることが多く、顆粒球減少の程度から、感染を起こしやすい時期を予想できます。
しかし、普通は白血球減少を起こさない薬剤でアレルギー性に発症する場合は検査を受けていることは少なく、突然の発熱や寒気、のどの痛みなどの感染症症状が現れて、検査をした結果、無顆粒球症に気づく場合がほとんどです。
検査と診断
アレルギー性の場合は血液検査で赤血球や血小板に異常がなく、白血球(とくに好中球)の著しい減少がみられます。骨髄検査では顆粒球系の成熟細胞が特異的に消失しており、未熟な細胞や赤芽球(赤血球系の若い細胞)、巨核球(血小板系の若い細胞)は残っています。
一方、中毒性の場合は、貧血や血小板の減少もみられ、骨髄検査でも赤芽球や巨核球の減少がみられます。
なお、細菌感染を合併している場合は、血液検査でCRPが上昇しています。重症の感染症が疑われる場合は、胸部X線検査(肺炎の場合)、尿の細菌検査(腎盂腎炎の場合)、血液培養(敗血症の場合)も必要になります。
治療の方法
原因となる可能性がある薬剤を中止します。感染症を合併している場合は、広域スペクトラム(いろいろな菌に効く)をもつ抗生剤を投与しますが、無顆粒球症の原因が抗生剤である場合は、使用する抗生剤を慎重に選択する必要があります。必要があれば顆粒球刺激因子(G‐CSF)を注射します。
また、骨髄検査の結果、回復に時間がかかると予想された場合は、フィルターを通して無菌の空気が流れてくる無菌ベッドを利用する場合もあります。
病気に気づいたらどうする
血液検査をしなければ診断ができないため、薬を服用している間に高熱が出た場合は、必ず主治医に診てもらう必要があります。たとえば、抗甲状腺薬は飲み始めて1〜2カ月後に無顆粒球症が起こる場合が多いといわれています。ほとんどの症例で顆粒球は自然に回復しますが、なかには長期に持続して、生命に危険なこともあるので、入院が必要になる場合がほとんどです。