のどの病気
正中頸嚢胞、側頸嚢胞・瘻
せいちゅうけいのうほう、そっけいのうほう・ろう
Median cervical cyst, Lateral cervical cyst, Lateral cervical fistula
初診に適した診療科目:耳鼻咽喉科
分類:のどの病気 > 顔面・頸部の腫瘤
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どんな病気か
正中頸嚢胞とは、胎生期に甲状腺ができる時、のどと甲状腺をつないでいた管の一部が退化せずに残り、袋を形成したものです。頸部の正中(真ん中)にできるため、正中頸嚢胞といわれます。
側頸嚢胞とは、胎生期のえらのようにみえる鰓溝という溝が残り、頸部に嚢胞ができたものです。溝にはいくつかあって、原因となる溝により、嚢胞につながる管が外耳道や口蓋扁桃あるいは下咽頭といわれるのどの下方にあいていることがあります。嚢胞につながる管が皮膚にあいている場合を側頸瘻といいます。嚢胞や瘻孔が正中頸嚢胞に比べて頸部の外側にあるため、このように呼ばれます。
症状の現れ方
正中頸嚢胞も側頸嚢胞も、通常は出生時から症状があることはなく、ほとんどはある年齢になってから、頸部のはれに気がついて初めて診断されます。正中頸嚢胞では多くの場合、頸部上方の正中部にはれが生じます。なかにたまった液の量により、硬さはいろいろです。つばを飲むと上下に動くことが特徴です。デルモイドシストといわれる嚢胞や、異所性甲状腺腫などとの区別が必要なことがあります。
側頸嚢胞は、胸鎖乳突筋という耳の後ろの骨と鎖骨・胸骨を結ぶ頸を斜め縦に横切る筋肉の内側にあります。下顎の角近くの頸にはれが生じます。これもなかにたまった液の量により、硬いものから軟らかいものまでいろいろあります。瘻孔はまれなものですが、この筋肉に沿った部位に穴があり、粘液が出ることがあります。嚢胞では、リンパ節腫脹や神経原性の腫瘍などとの区別が必要になります。
治療の方法
いずれも手術による治療が必要です。嚢胞の頻回の穿刺(針で刺すこと)は細菌感染の可能性を高め、また、根治治療とはならないのですすめられません。手術では、瘻孔やのどなどにつながる管を含めた嚢胞の完全摘出が重要です。そのために正中頸嚢胞では、舌骨という嚢胞についた骨の一部の合併切除も行います。完全摘出が行われれば再発はありません。