口・あごの病気

歯根嚢胞

しこんのうほう
Radicular cyst

分類:口・あごの病気 > あごの病気

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どんな病気か・原因は何か

 歯根嚢胞は顎骨のなかに生じる嚢胞で最も頻度が高いものです。慢性に進行する歯根の先端部の炎症(根尖性歯周炎)によって生じる炎症性肉芽(歯根肉芽腫)のなかに、歯根膜に残っていた上皮成分が入り込んで、これから歯根嚢胞が生じるとされています。

 根尖性歯周炎は歯牙の歯髄死に引き続くものがほとんどで、う蝕、歯の破折などの外傷、修復物(とくにレジン充填)の刺激によって歯髄壊死を起こすものが多くなっています。

症状の現れ方と検査

 症状としては、原因となった歯の変色、打診痛、根尖に相当する歯肉部の圧痛や瘻孔の存在、圧迫による不快感、骨の膨隆などです。X線所見では、原因となった歯の根尖付近に接し、歯根膜腔に移行する類円形の透過像がみられます(図18)。

治療の方法

 嚢胞が小さければ、歯の内部を経由した治療法(根管治療)で消退する場合もありますが、大きくなったものでは、歯肉を切開し、顎骨を削って嚢胞を摘出し、さらに原因となった歯の根尖部を切除する歯根端切除術が必要になります。歯根端切除部の根管を緊密に閉鎖することが、再発や治癒不全を防ぐために重要です。

(愛知学院大学歯学部顎顔面外科学主任教授 下郷和雄)

図18 歯根嚢胞(X線像)図18 歯根嚢胞(X線像)