眼の病気
角膜ジストロフィ
かくまくじすとろふぃ
Corneal dystrophy
初診に適した診療科目:眼科
分類:眼の病気 > 角膜と強膜の病気
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どんな病気か
遺伝性の病気で、両眼の角膜実質にいろいろなものが沈着したり(顆粒状角膜ジストロフィ(図24)、格子状角膜ジストロフィ、斑状角膜ジストロフィ、膠様滴状角膜ジストロフィなど)、角膜の内側の内皮細胞が異常を来して角膜のはれを生じたり(フックス角膜内皮ジストロフィ)するため、視力に影響してきます。
膠様滴状角膜ジストロフィは、欧米ではまれで日本人に多く、反対に、フックス角膜内皮ジストロフィは欧米に多く、日本人には少ないのが特徴です。
原因は何か
原因は遺伝であり、最近、その多くについて原因となる遺伝子が解明されました。前にあげたなかでも、フックス角膜内皮ジストロフィを除いて、原因となる遺伝子が特定されています。
症状の現れ方
最も頻度が高い顆粒状角膜ジストロフィは、角膜の混濁が部分的であるため、軽度であればまったく無症状ですが、年齢とともに視力の低下やまぶしさを訴えるようになります。
格子状角膜ジストロフィは、それよりも視力低下が強く、また角膜の上皮の接着が不良なため、再発性角膜びらんを生じて眼痛を生じることがあります。
斑状角膜ジストロフィとフックス角膜内皮ジストロフィは、年齢とともに強い視力障害を生じてきます。
膠様滴状角膜ジストロフィは、かなり若いころから、アミロイドという物質が角膜の表面近くに沈着して表面がでこぼこになるため、視力障害やまぶしさが強いのが特徴で、再発性角膜びらんも生じます。
検査と診断
一部の専門病院では、血液から白血球を採取し、そこに含まれているDNAを解析し、原因遺伝子を検索することがありますが、まだ一般的な検査とはなっていません。
治療の方法
原因の遺伝子は最近わかりましたが、まだそれによる原因治療は開発されていません。治療としては、エキシマレーザーというレーザーを使用して角膜の表面のにごりのあるところを削る方法や、角膜移植が選択されます。
角膜ジストロフィでのレーザーや角膜移植の成績は一般に良好ですが、原因が内因性であるため、このような治療を行っても再発してくる可能性があり、それが現在の課題となっています。
関連項目
角膜の構造と透明な理由(コラム)、角膜びらん
角膜の構造と透明な理由
角膜は、黒目の表面の厚さ0・5㎜の透明なドーム状の膜ですが、視覚器官である眼に光が入る入口のところにあり、水晶体とともに眼のレンズの役割をしています(図17)。したがって、角膜がにごったり、ゆがんだりすると視力が非常に障害されます。また、角膜には豊富に神経が分布しているので、角膜に傷がつくと痛みが生じます。
角膜は3層構造をしており、表面をおおう上皮と内側をおおう内皮との間に角膜の大部分を占める実質があります。実質は、コラーゲンの線維とその間を埋める基質としてのグルコサミノグリカン(糖の一種)からなっていますが、その8割弱は水分でスポンジが水を含んだような感じになっています。
角膜がなぜ透明なのか、その詳しいメカニズムはわかっていませんが、コラーゲンの線維がある一定の間隔をもって規則正しく配列していることが、透明であることのキーであると考えられています(モーリスの格子説)。そのため、角膜実質中の水分が増加して角膜が膨潤し、このコラーゲンの配列が乱れると、たちまち角膜は透明でなくなってしまいます。
角膜のもうひとつの大きな特徴として、正常な角膜には血管がないということがあげられます。血管がないのにどうやって栄養分を受けとっているか不思議なところですが、角膜表面の涙と、角膜の周囲の白目の表面をおおっている結膜の血管と、角膜の奥にある眼内の前房というところにたまっている房水の三者によって栄養分をもらっているのです。