運動器系の病気(外傷を含む)
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手関節TFCC損傷と手関節捻挫
てかんせつてぃーえふしーしーそんしょうとてかんせつねんざ
Triangular fibrocartilage complex (TFCC) injury of the wrist, Wrist sprain
初診に適した診療科目:整形外科
分類:運動器系の病気(外傷を含む) > 四肢の軟部組織外傷(けが)
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どんな外傷か
手関節捻挫は、手をついたり、ひねったりして、手関節部に疼痛が生じる軟部組織損傷で、いくつかの病態があります。そのなかのひとつにTFCC損傷があります。TFCCとは、尺骨頭と尺側手根骨の間にある三角線維軟骨、メニスカス類似体、尺側側副靭帯などの複合体のことで、日本語では三角線維軟骨複合体といいます(図33)。
TFCC損傷は、転倒して手をついたりしたときなどの外傷によって生じる場合、慢性的な使いすぎによって生じる場合、加齢性の変化で生じる場合があります。
見落としやすい外傷と合併症
手関節捻挫は、手関節X線検査では異常がないのですが、放置すると難治性になる場合もあるので、外固定を行って経過をみたほうがよいです。
症状の現れ方
手関節捻挫では、手関節の疼痛とはれが現れます。TFCC損傷では、手関節の尺側(小指側)に疼痛、はれが生じ、前腕の回旋動作によって痛みが強くなります。
検査と診断
手関節捻挫は、圧痛(押すと痛むこと)がどこにあるかでどの部分の損傷であるか、ある程度の診断が可能です。ただ、受傷直後の疼痛が強い時期には、損傷部を診断することが困難なことも少なくありません。
TFCC損傷では、TFCCの圧痛、尺屈回外テスト陽性(手関節を尺側に屈曲させた状態で、手のひらを上に向ける方向‐回外方向に前腕を回旋させると疼痛が増強する)などの臨床所見で診断されます。
TFCCは単純X線写真には写りませんが、手関節X線検査で尺骨茎状突起骨折の有無、尺骨のバリアント(橈骨に対する尺骨の相対的長さ、具体的には橈骨関節面に対して尺骨頭が長くないか)などを調べます。MRI検査、手関節造影検査などを行います。
治療の方法
手関節捻挫に対しては、手関節部が動かないように外固定を行います。圧痛の軽減の有無が、外固定を除去する目安になります。
TFCC損傷においても、外傷性のものに対しては、3〜4週間の外固定を行います。慢性的な使いすぎ、変性による場合は、局所麻酔薬とステロイド薬の関節内注射や、付け外しが簡単な装具を装着します。
いずれも疼痛が持続する場合は、関節鏡視下にTFCC中央の部分切除術を行ったり、尺骨が橈骨に対して長いものでは、尺骨短縮術などの手術を行います。
外傷を負ったら
手関節を動かないように固定すると、疼痛が緩和されます。早期に整形外科を受診することをすすめます。
手関節捻挫と間違えやすいものに手の舟状骨骨折があります。初期の単純Ⅹ線写真では骨折が写りにくい特徴があります。3週間を過ぎても痛い場合は、手の外科専門医の受診をすすめます。このなかには、早期に治療しないと、難治性になってしまうタイプの骨折があります。