運動器系の病気(外傷を含む)

脳性麻痺

のうせいまひ
Cerebral palsy

初診に適した診療科目:小児科 脳神経外科

分類:運動器系の病気(外傷を含む) > 周産期の病気

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どんな病気か

 子どもがおなかにいるときから生後4週までに、何らかの原因で脳が損傷を受けると、その後、体や手足が自由に動かせなくなることがあります。これが脳性麻痺で、脳障害の後遺症といえます。運動の麻痺ですが、知的障害やてんかんを伴うことがあります。麻痺が非常に軽度で生活上の障害がない人から、重度で座ることができない人までいます。

原因は何か

 脳障害の原因はさまざまで、次のようなものがあります。

①おなかにいるとき

 遺伝子や染色体の異常、脳の形成異常(小頭症など)、胎内感染(風疹、サイトメガロウイルスなど)、子宮内外傷など

②出産時とその前後

 仮死、脳室周囲白質軟化症、頭蓋内出血、核黄疸など

③生後1カ月まで

 脳炎、髄膜炎、脳血管障害、頭部外傷など

症状の現れ方

 首がすわる(3〜4カ月ごろ)、おすわりができる(7カ月ごろ)、歩き始める(1歳ごろ)などの運動発達が遅れます。また、体や手足が硬い、手足の動きが少ない、体がそりやすいなどの異常がみられます。これらの症状は、およそ2歳ごろまでに現れます。一般的に重度なほど早期に症状が出ます。

 成長するにつれて、手足の筋肉が短縮したり、関節がこわばったり、大腿骨・下腿骨のねじれが強くなったりして、いったん得られた機能が学童期に低下する傾向があります。

検査と診断

 脳の超音波、MRI、CT検査の結果などと、手足の筋肉の緊張や運動発達の遅れなどの症状から総合的に診断します。ごく軽度の脳性麻痺では、これらの検査で異常がみつからないことがありますが、その場合は症状で診断します。

 麻痺のタイプには、痙直型(筋肉に力が入りやすい)、不随意型(意思とは関係なく、手足が動いてしまう)、失調型(バランスが悪く、ふらふら歩く)などがあります。

治療の方法

 治療の目的は、子どものもつ運動能力を最大限に引き出し、得られた能力を生涯にわたり維持させることです。

①訓練

 理学療法で筋肉の緊張を和らげたり、運動発達を促します。作業療法で手の機能の向上を目指します。

②装具

 歩きやすくする、手を使いやすくするなどの機能的な装具と、筋肉の短縮や関節が硬くなるのを予防する夜間につける装具などがあります。

③筋肉の緊張を和らげる治療

・選択的脊髄後根切断術や髄腔内バクロフェン持続投与:どちらも下肢全体の緊張を和らげます。

・ボツリヌストキシン筋肉注射:特定の筋肉の緊張を和らげます。

④整形外科的手術

 短縮した筋肉を延長したり、大腿骨・下腿骨のねじれ、足部の変形を治します。また、重度な子どもの股関節脱臼や脊柱側弯変形(背骨が曲ること)も治療します。

病気に気づいたらどうする

 神経を専門にする小児科、小児を専門にする整形外科などに受診してください。わからない場合は、肢体不自由施設、小児病院、こども病院などに問い合わせてください。

(愛知県立心身障害児療育センター第二青い鳥学園整形外科部長 則竹耕治)