脳・神経・筋の病気

筋強直性ジストロフィー

きんきょうちょくせいじすとろふぃー
Myotonic dystrophy

分類:脳・神経・筋の病気 > 筋肉の病気

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どんな病気か

 筋ジストロフィーのなかに位置付けられている病気ですが、ほかの筋ジストロフィーとは違い、内分泌異常、心伝導障害、白内障などを伴う多臓器疾患です。

原因は何か

 第19番染色体のMPTK遺伝子のなかで、3つの核酸(CTG)の繰り返しが異常に延長して起こる病気ですが、動物実験でこの遺伝子に異常を起こしたマウスでは軽い異常しかみられません。MPTK遺伝子周囲の遺伝子のスプライシング異常を引き起こすことにより、発症するのではないかといわれています。

 常染色体優性遺伝疾患なので、男女両性に発病します。通常は30歳くらいで発病しますが、小児期や生後すぐにも発病することがあります。

 とくに、生後すぐに発病するタイプは先天型と呼ばれ、生後まもなく人工呼吸器の装着を要することもあるなど重症なものです。

 最近、筋強直性筋ジストロフィー第2型が注目されています。通常の筋強直性筋ジストロフィーは手足の先の筋を主に侵すのに、第2型では体に近い部位の筋を主に浸します。日本ではごくまれです。第2型ではCTGではなく、CCTGの4つの核酸の繰り返しが増加しています。

症状の現れ方

 進行性の筋力低下とミオトニー症状です。ミオトニーとは、運動したあとに自分の意思で筋肉が弛緩できない状態を指します。たとえば、熱いやかんの取っ手をつかんで熱いと感じても手が放せないというような現象が起きます。

 筋力低下は、一般の筋ジストロフィーが主に体幹筋や肩・腰周囲筋に障害が現れるのに対して、この病気では手足の先端が主に侵されます。

治療の方法

 白内障を90%以上の患者さんが併発しますが、眼科的手術によって対処は可能です。糖尿病の合併が多いのも特徴です。この病気における糖尿病の特徴は、重症化しないものの治療に対して抵抗性があるということです。また、心伝導障害のために心臓ペースメーカーの装着が必要になることもしばしばです。

 このタイプでも呼吸障害が起こりやすいので注意を要します。また嚥下障害が早期からみられることもあります。

(国立病院機構箱根病院院長 石原傳幸)