脳・神経・筋の病気
ハンチントン病
はんちんとんびょう
Huntington's disease
初診に適した診療科目:神経内科
分類:脳・神経・筋の病気 > 運動の異常を主症状とする病気
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どんな病気か
常染色体優性遺伝によって発病する神経変性疾患で、徐々に発症し進行する舞踏運動といわれる異常運動と、認知症や人格変化が特徴です。
多くは35〜50歳で発症します。本症は脳の尾状核という部分がとくに障害されます。特定疾患の治療対象疾患のひとつで、医療費の補助があります。
原因は何か
例外なく遺伝子によって規定される病気で、原因遺伝子がわかっています。遺伝性はほぼ100%で、家族内での発症率が高い病気です。進行の度合いは家系により異なります。
症状の現れ方
40歳前後に不随意運動(コラム)で発症し、ゆるやかに進行します。初めは手足に現れ、次第に顔面や頸部にも現れます。顔をしかめたり肩をすくめるといった素早い動きのため、落ち着きがないようにみえます。安静臥床時よりも歩行時や何か動作をしようとしたり、緊張した時に強くなります。
病気の進行に伴い、怒りっぽい、飽きやすいなどの性格変化が現れ、うつ状態や被害妄想などの精神症状、さらに認知症の症状も現れます。20歳以下や60歳以上の発症では認知症の症状が軽く、若年発症では固縮型といわれ、舞踏運動よりパーキンソン症状が目立ちます。
検査と診断
家族内発症がみられることと、頭部CT、MRI検査での尾状核の萎縮で診断されます。遺伝子診断が可能です。
治療の方法
原疾患そのものを治したり、予防することはできません。ハロペリドール(セレネース)などの薬が異常運動を抑えるのに有効です。病気は進行しながらも10数年は経過します。
この病気自体は生命に直接関わることはないのですが、激しい不随意運動のために体力を消耗したり誤嚥をしたり、あるいは感染症で死亡することがあります。そのため清潔や栄養面の管理が必要です。
病気に気づいたらどうする
不随意運動にはさまざまなものがあるので、専門医(神経内科)の診察を受けてください。本症は遺伝性で発病前に気づくこともあり、遺伝性疾患のカウンセリングを受けるのが望ましいと思われます。
関連項目
不随意運動とは
本人の意思に関係なく勝手に動く目的のない運動の総称で、不随意運動のなかにも多種多様なものがあります。大脳基底核という部分が障害されて起こることが多いのですが、大脳皮質、小脳、あるいは手足の筋肉や末梢神経の障害でも、不随意運動が起こりえます。
不随意運動の原因疾患もさまざまですが、日常的によくみるのは、眼瞼れん縮(まぶたがピクピクする、眼が開かない)や本態性振戦(コップを持ったり、人前で字を書く時に手が震える)など、あまり心配のいらない疾患で、これらは比較的薬がよく効きます。
しかし、パーキンソン病に伴う手の震え(振戦)も本態性振戦とよく似ており、なかには不随意運動が進行性の病気の初期症状のことがあります。