脳・神経・筋の病気

高血圧性脳症

こうけつあつせいのうしょう
Hypertensive encephalopathy

初診に適した診療科目:神経内科

分類:脳・神経・筋の病気 > 脳の血管障害

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どんな病気か

 頭痛、視力障害、けいれん、意識障害などの症状が血圧上昇に伴って起こるものです。

 脳の血管には、血圧の上昇・下降に対して血管を収縮・拡張させて血管抵抗を増大・減少させ、脳の血流を一定に保とうとするはたらきがあります。これを脳血管の自動調節能といいます。しかしその調節能の範囲を超えて血圧が著しく上昇すると、脳血流は異常に増え、脳の毛細血管内から血管外へ血漿成分がしみ出して脳にむくみを起こし、頭蓋内圧が亢進します。このような現象を高血圧性脳症といい、悪性高血圧や子癇(一種の妊娠高血圧症)などの際にみられます。

症状の現れ方

 頭痛、悪心(吐き気)、嘔吐などのいわゆる頭蓋内圧亢進症状が起こります。さらに悪化するとけいれん、意識障害などを起こします。放置すると脳出血や心不全、腎不全により死亡します。

検査と診断

 血圧の著しい上昇がみられ、とくに拡張期血圧(低いほう)が120㎜Hg以上に上昇しています。頭部CTやMRIでは、脳のむくみの所見がみられますが、大きな梗塞や出血はありません。

治療の方法

 すみやかに血圧を下げる必要があります。降圧がすみやかに得られ、用量を調節しやすく、また効果が確実な静脈内投与の降圧薬で治療します。脳のむくみに対する抗脳浮腫薬や、けいれんがある場合には抗けいれん薬が必要です。

病気に気づいたらどうする

 ただちに神経内科の専門医の診察を受けてください。

(東海大学医学部内科学系神経内科教授 騠木繁治)