呼吸器の病気
睡眠時無呼吸症候群
すいみんじむこきゅうしょうこうぐん
Sleep apnea syndrome
初診に適した診療科目:呼吸器科 耳鼻咽喉科
分類:呼吸器の病気 > 肺の病気/その他
広告
広告
どんな病気か
一晩(7時間)の睡眠中に10秒以上の無呼吸が30回以上、レム、ノンレム期(レム睡眠とは眼球が速く動く時期で、筋肉を休める眠り、ノンレム睡眠とは眼球は動かず大脳を休める眠り)の両方に現れる病態です。
医学的な無呼吸の定義では、10秒以上の口と鼻での気流の停止です。この結果十分な睡眠がとれず、日中の眠気、集中力の低下、活力の喪失などが起こります。交通事故や災害事故の原因との関連から、社会的に問題になっています。
また心血管系の合併症(不整脈、心不全、高血圧、脳血管障害)や糖尿病が多くみられ、さまざまな問題を引き起こしてきます。
原因は何か
睡眠時の無呼吸が主な病態であるため、睡眠中の呼吸動態のモニターが必須となります。
睡眠中のさまざまな生理学的指標を測定するポリソムノグラフィー(後述)によって検査が行われ、これにより睡眠時無呼吸症候群は、①呼吸運動が停止するために無呼吸となる中枢型、②呼吸運動は持続しているが、上気道がふさがるために無呼吸となる閉塞型、③両者の混合型の3型に分類されます。
中枢型は呼吸中枢(延髄)の障害により起こりますが、極めてまれな病態です。一般に問題になる場合のほとんどは、上気道がふさがる閉塞型です。小児ではアデノイド、成人では肥満が重要な原因です。日本人はあごが小さめであるため、必ずしも肥満者のみに限りません。
症状の現れ方
睡眠時の症状として、いびき、無呼吸、寝相が悪いなどがあります。日中の覚醒時には頭痛、眠気、性格の変化などが認められます。
いびきは、睡眠時に発生する粘膜の振動音で、睡眠時無呼吸症候群を疑う重要な症状です。肥満、アルコール摂取時、睡眠薬などのある種の薬物の服用、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの鼻疾患の存在、咽頭扁桃部の炎症などが原因となりえますので、区別する必要があります。
検査と診断
いびきが強く、いびきの後に呼吸が止まるようであれば、かなり疑いが濃いといえます。若いころに比べて体重増加が著しい場合にも注意が必要です。
自己判断の参考として表17のような問診があります。
ポリソムノグラフィーでは睡眠中の脳波、眼電図、筋電図、口と鼻の気流、胸腹部の呼吸運動、心電図、酸素飽和度などを終夜にわたってモニターします。無呼吸が一晩に30回以上か、1時間あたりの無呼吸の回数が5回以上の場合に診断が確定します。あるいは呼吸運動が低下し、かつ酸素飽和度が低下する時には、無呼吸と同等な病的意義があると考えられます。
治療の方法
肥満に対しては体重の減少を図ることが第一で、多くの場合はこれだけで病態の改善が期待できます。上気道の閉塞の原因がアデノイド、口蓋扁桃肥大や形態異常など、明らかである場合は、手術が行われます。
睡眠時無呼吸症候群に対しては、経鼻的持続陽圧呼吸が有効です。これは図40のように持続的に陽圧を加えることで、上気道を強制的に開かせておくものです。
薬物療法により呼吸を促進させることもあります。