女性の病気と妊娠・出産

どんな病気か

　さまざまな細菌感染（ブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌、肺炎球菌など）によって生じる外陰部の炎症をいいます。毛孔（毛穴）に侵入してできる外陰毛嚢炎や、そこからさらに進んで、せつ（フルンケル）、癰（カルブンケル）といった病態が現れます。

　毛嚢炎は、外陰部の毛穴から毛根周辺を中心に炎症を起こし、毛穴を中心に赤く小さくはれ上がり（径２〜３㎜程度）、尖端部にうみがみられることもあります。

　せつは、毛嚢炎が数個癒合して大きくなった状態で、毛嚢炎より発赤・痛みが強くなります。癰は、２つ以上の毛穴に同時に菌が侵入したものをいいます。これらは“おでき”として自覚され、外陰部以外にもできることがあります。

原因は何か

　毛嚢炎はブドウ球菌などの化膿菌が毛穴に侵入して発症します。湿疹のあとにできることが多く、帯下や汗による湿潤も誘因になります。

症状の現れ方

　毛嚢炎では、大陰唇や恥骨付近など、外陰部の毛根部に多数の小膿疱を形成します。毛嚢炎・せつ・癰のいずれも、局所に発赤、腫脹、熱感、痛みが生じます。

治療の方法

　抗生剤が主体になります。内服薬のほか、局所には抗生剤含有軟膏（ゲンタシン軟膏など）を用います。

　膿瘍を形成した時には切開し、うみを出してやります。軽い毛嚢炎であれば、自然に破れてうみが出ていき、そのまま治ることもあります。清潔を保つ必要があります。

（東京大学医学部附属病院女性診療科・産科助教　織田克利）