お年寄りの病気

排尿障害

はいにょうしょうがい
Disturbance of urination

初診に適した診療科目:泌尿器科

分類:お年寄りの病気 > 腎・泌尿器疾患

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高齢者での特殊事情

 尿が出にくい(排尿困難)、尿がもれる(尿失禁)、尿が出る回数が多い(頻尿)、尿が出る時に痛い(排尿時痛)といった症状は、排尿障害としてまとめられます(泌尿器、生殖器の症状)。

 尿が出にくい、頻尿があるという場合は、高齢男性では前立腺肥大症、あるいは膀胱を支配している神経に異常がある神経因性膀胱が考えられます。特殊な場合として、何らかの原因で尿道が狭くなっている状態(尿道狭窄)、あるいは膀胱、尿道に結石が存在することも考えられます。

 高齢女性の排尿困難、頻尿では、過去に子宮がんの手術などを受け、膀胱を支配する神経が損傷されたために起こる神経因性膀胱が原因になっていることが多いようです。まれに、子宮筋腫による膀胱の出口の圧迫、尿道狭窄、膀胱結石が原因になっていることもあります。

 高齢男性に多い前立腺肥大症については、次項で解説しているので参照してください。時に前立腺がんの心配があるので、血液中の前立腺腫瘍マーカー(PSA)、専門医による前立腺の触診、超音波検査、前立腺生検(針を刺し前立腺の組織片を取り出して顕微鏡で調べる)で確かめる必要があります。

 高齢の男女に共通してみられる排尿障害の原因として多いのが神経因性膀胱なので、以下、これについて解説します(表9)。

(東京大学名誉教授/藤枝市立総合病院名誉院長 阿曽佳郎)

表9 神経因性膀胱の概略表9 神経因性膀胱の概略