子どもの病気

母斑症

ぼはんしょう
Phacomatosis

分類:子どもの病気 > 皮膚の病気

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 母斑の存在とともに脳などの神経異常や、眼、骨、心臓、腎臓など全身性に生まれつきの病変を認める病気の総称で、神経皮膚症候群とも呼ばれます。

 多くは先天性で、一部では原因となる遺伝子も証明されています。皮膚と神経が侵されることが多いですが、病気によって現れる症状は違い、また同じ病気でも個人や年齢によって症状が異なります。代表的なものとして結節性硬化症、レックリングハウゼン病スタージ・ウェーバー症候群などがあります(コラム)。

 治療は症状に応じたものとなり、現在のところ根治する方法はありませんが、てんかんに対して投薬したり、母斑を手術したりします。専門医の定期的な診察を受け、経過を観察することが重要です。

(久留米大学医学部皮膚科学准教授 安元慎一郎)

レックリングハウゼン病

 レックリングハウゼン病は母斑症のひとつで、優性遺伝形式を示す先天性疾患です。日本における発生頻度は約3000人に1人と考えられています。17番染色体上の遺伝子異常で起こることが証明されています。

 生まれた時から皮膚にミルクコーヒー様のあざ(カフェオレ斑)が6個以上みられれば、この病気の可能性が高いとされています。また、思春期ごろから皮膚に大小の軟らかい腫瘍(神経線維腫)が少しずつできてきます。個人により、その大きさや数はさまざまです。皮膚以外では眼や骨の異常などを認めることがありますが、やはり個人差があります。

 皮膚の神経線維腫は、美容的あるいは機能的な目的で手術を行うことがあります。レックリングハウゼン病と診断された場合は、眼や骨の異常も含めて起こりうるさまざまな症状に対処していくため、定期的に医師の診察を受け、経過を観察してもらうことが必要です。

(久留米大学医学部皮膚科学准教授 安元慎一郎)

スタージ・ウェーバー症候群

 スタージ・ウェーバー症候群は母斑症のひとつで、発生頻度は約1万人に1人と考えられています。遺伝的素因は証明されていません。

 生まれつき、顔の皮膚と脳軟膜、眼内の脈絡膜という部位に血管腫を生じる病気です。実際にこれらすべての症状がみられることは多くありません。皮膚の血管腫による赤あざは最も頻度の高い症状で、片側性に顔面上半分にしばしばみられます。また、脳軟膜の血管腫の影響で、けいれん発作や麻痺、知能低下などの症状がみられることがあります。

 脈絡膜の血管腫は乳幼児期から眼の内部の圧力(眼圧)を上昇させるため、眼球が大きくなります(牛眼)。時には失明に至ることがあり、注意が必要です。

 早期にけいれん発作に対する投薬と眼圧のコントロールを行います。重症の場合、手術による治療が選択されることもあります。また、顔の赤あざにはレーザーによる治療が行われています。通常、命に関わるような問題は多くありません。

(久留米大学医学部皮膚科学准教授 安元慎一郎)