子どもの病気

糖尿病

とうにょうびょう
Diabetes mellitus

初診に適した診療科目:小児科

分類:子どもの病気 > 代謝異常の病気

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どんな病気か

 糖尿病とは、血糖値が高い状態(空腹時126㎎/dl以上、食後200㎎/dl以上)が持続する状態です。血糖値170㎎/dl以上では尿糖が出るため、糖尿病と呼びます。

 糖尿病には主に1型と2型があります。1型はインスリンが欠乏した状態であり、2型はインスリンが効きにくくなった状態です。小学生では1型、中学生では2型が多いです。初期の2型は無症状なので、学校検尿で発見されることが多いです。2型は成人の糖尿病と同じなので、ここでは1型について述べます。

原因はなにか

 膵臓のランゲルハンス島のβ細胞が免疫異常等で障害され、インスリン産生がなくなり発症します。インスリンは、エネルギー源のブドウ糖を細胞内に取り込む作用があります。インスリンが欠乏すると、細胞内はブドウ糖不足(エネルギー不足)、細胞外(血管)ではブドウ糖過剰(高血糖)になります。障害されたβ細胞は回復しないので、1型糖尿病を治癒させることはできません。

症状の現れ方

 ある時から多飲多尿、体重減少が始まります。インスリンが欠乏すると、細胞内ではエネルギー不足なので、筋肉を分解しブドウ糖を産生し、脂肪を分解してケトン体を産生し、エネルギーを産生します。その結果、血糖がさらに上昇し、尿にブドウ糖が排泄され多尿となります。脱水状態になりますので、とてものどが渇きます。甘い飲み物を欲しがるのが特徴です。また、産生されたケトン体は、血液を酸性にし、ケトアシドーシスという状態を起こし、意識障害から死亡に至ります。

検査と診断

 多飲、多尿、高血糖(尿糖陽性)と尿ケトン体陽性で診断できます。放置すれば、血液が代謝性アシドーシスという酸性の状態になります。

治療の方法

 ただちにインスリン治療を開始します。進行した状態では、インスリンの静脈注射と輸液が必要です。食事がとれれば、インスリンの皮下注射から開始します。インスリン製剤は、寝る前(あるいは朝食前)にゆっくり効くタイプ(持効型、中間型)を注射し、各食事の前に早く効くタイプ(超速効型、速効型)を注射する方法が一般的です。小型のポンプでインスリンを持続的に注射する方法もあります。

 注射前に血糖測定も行います。インスリン注射と血糖測定は、生涯にわたり必要です。小学生からは子ども自身でやるようにします。1カ月の血糖値の平均の指標(HbA1C)が6・5%未満になるように血糖をコントロールします。そのためには、病院や学校、“糖尿病キャンプ”で必要な体験をしながら、技術を習熟し、やる気や自信を身につけなければなりません。

病気に気づいたらどうする

 多飲多尿、体重減少に気がついたら、ただちに小児科を受診し、尿糖、ケトン体の検査を受けてください。1型糖尿病になっても、インスリン治療をすれば、健康な子どもと変わらないことができます。そのためには、家族が前向きに考えて、子どもを支援することが最も重要です。

(新潟大学医歯学総合病院小児科講師 菊池 透)