子どもの病気

ペルテス病

ぺるてすびょう
Perthes disease

初診に適した診療科目:小児科 整形外科

分類:子どもの病気 > 運動器系の病気

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どんな病気か

 成長期に大腿骨頭の骨化核の虚血性壊死を生じる病気です。3年程度の経過で最終的に骨壊死は自然治癒しますが、骨頭変形などによって股関節に永続する障害を残すことも多い病気です。

症状の現れ方

①発病の経緯

 明らかな外傷歴がなく、疼痛と歩き方の異常により発症します。疼痛は股部だけでなく、大腿、膝部のこともあるので注意を要します。

②年齢・性別・左右差

 2〜12歳にみられ、とくに4〜8歳に多い病気です。男性に5〜10倍ほど多く、両側例が10〜20%にみられますが、左右で発症時期が異なることが一般的です。

③症状

 疼痛は軽度でその原因は関節水腫です。水腫は早期に自然消退し、それとともに疼痛も消えます。そのため発症に気づかず、病気が進行していることがあります。股関節の運動制限はとくに内側に捻る運動で強い傾向があります。

検査と診断

 病気の経過は滑膜炎期、硬化期、分節期、修復期に分けられ、それぞれに特有のX線像を示します。MRI、骨シンチグラフィも初期の診断には有用です。血液検査は一般に正常です。X線所見が正常化するには約3年を要します。単純性股関節炎、大腿骨頭すべり症、膠原病などとの鑑別が必要です。

治療の方法

 骨頭変形を生じることなく自然治癒させることが目標となります。一般に低年齢で発症した症例、骨化核の外側の高さが経過を通じて維持されている症例は予後が良好です。

①保存的治療

 疼痛が強く、股関節可動域制限がみられる時期は入院して牽引療法を行います。その後、通院での装具療法に移行します。装具療法の目的は負荷を避けることと臼蓋による大腿骨頭の包み込みで、少なくとも1年は継続する必要があります。

②手術療法

 修復が停滞した時に手術の適応があります。高年齢で発症した患者さんで必要になることが多い傾向があります。

(大阪府立母子保健総合医療センター整形外科主任部長 川端秀彦)