子どもの病気
形態と位置の異常
けいたいといちのいじょう
Anomalies in form and situs
分類:子どもの病気 > 泌尿器と性器の病気
広告
広告
①融合腎
本来、体の左右に1個ずつある腎臓がつながってしまっている形態異常です。腎臓の下端が体の中心線上でつながり、馬の蹄鉄に似た形態となる馬蹄腎が代表的です。超音波検査やCT、腎シンチグラフィで形態の検査を行うことにより診断ができます。
合併症がなく、無症状の場合はとくに治療は必要ありません。しかし、結合部が尿管を圧迫して尿の通過障害を起こし、そのため感染症を起こしたり、尿路結石が発生したり、腰痛の原因となっていたりする場合があります。このような時は、結合部の離断などの手術が必要となることがあります。
②変位腎
腎臓は、胎生初期に骨盤内で発生し、徐々に上昇してきて正常な腰の位置に達します。この上昇過程に異常が生じると腎臓の位置が異常となり、変位腎と呼ばれます。
上昇が不完全な場合、腎臓が骨盤内にある骨盤腎となり、まれではありますが、上昇が過剰だと胸腔内にある胸部腎となります。また、片側の腎臓が、体の中心線を越えて反対側に存在する場合、交差性変位腎と呼ばれます。
変位腎の多くは無症状で、偶然発見されます。発見された場合、腎臓の血管系がどのような状態になっているかを調べることも大切です。
③腎下垂、遊走腎
腎臓は、健康な人でも息を吸った時や立った時には4〜5㎝下方へ移動します。下降の程度が強く、そのためにいろいろな症状が出るものを腎下垂または遊走腎といいます。
腎臓を支えている周囲の組織の力が弱いために生じると考えられており、一般に、やせていて体つきの細い女性に多く、大部分は右側に起こります。尿管の屈曲や腎動静脈の伸展が起こりやすく、尿流通過障害や腎盂腎炎、尿路結石、腰痛などの症状を起こしやすくなります。
症状がなければ治療の必要はありません。やせている人は、少し太るような食事をしたり、また、適度なスポーツなどで筋力をつけることも効果があります。