子どもの病気

心気症(ヒポコンドリー)

しんきしょう(ひぽこんどりー)
Hypochondriasis

初診に適した診療科目:小児科 精神科 神経科

分類:子どもの病気 > 発達障害とこころの病気

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どんな病気か

 自分の身体的な健康について、過度に心配して思い悩む状態をいいます。自分の体の些細な変調を重大なこととしてとらえ、いくつもの医療機関を何回も受診することも少なくありません。とくに身体疾患がないのに、自分で神経質に考えすぎた結果陥っている状態です。

原因は何か

 原因は不明ですが、本人の性格や親子関係も含めた生活環境が発症に大きく関わっているといわれています。

 転校・転居などの環境の変化、あるいは身近な人物、たとえば祖父母などの病気や死を体験したことが誘因になることもあります。

症状の現れ方

 大人であれば“がんノイローゼ”が代表的なものですが、子どもでは頭痛(頭重感)、腹痛(腹部の不快感)、めまい、浮遊感、全身の倦怠感、手足の痛み、呼吸苦などを訴えます。その結果、不登校に至ることもあります。

検査と診断

 元来、神経質な性格傾向があるかどうかや、発症の状況などに加えて、小児科で必要な身体的検査を行い、身体疾患がなければ診断がつきます。多くの子どもが二次的にうつ状態になりますが、子どものうつ病の随伴症状であることもあるので、区別が必要です。

治療の方法

 まず、心身ともに静養させることが重要です。続いて、とくに母親の協力を得て、心配なことを聞いてあげたり、母親に甘えることができる状況をつくることによって元気が出るのを待ちます。少量の抗不安薬や抗うつ薬を使う場合もあります。予後は一般的に悪くはありません。

病気に気づいたらどうする

 不安や抑うつが強い場合には、児童精神科への受診と治療が必要になります。

(東海大学医学部精神科学教授 松本英夫)