子どもの病気

広汎性発達障害

こうはんせいはったつしょうがい
Pervasive developmental disorder (PDD)

初診に適した診療科目:小児科 精神科 神経科

分類:子どもの病気 > 発達障害とこころの病気

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どんな病気か

 広汎性発達障害は、自閉症、アスペルガー障害を含み、さらにそれらの周辺にある疾患群を加えた比較的広い概念で、社会性、コミュニケーション、想像力の3つの領域の障害があります。「自閉症スペクトラム障害」と呼ばれることもあります。

原因は何か

 原因はまだ特定できていませんが、脳が形成される過程で複数の遺伝子が関与することによる脳機能障害と考えられています。親の育てかたやしつけが原因ではありません。

症状の現れ方

 仲間関係をつくることが苦手で、楽しみや興味を他人と共有することを求めません。表情やジェスチャーで表現したり、相手の表情を読み取ったりすることが苦手です。自分の気持ちを表現することも、相手の気持ちを推し量ることも苦手です。比喩表現を理解できず文字どおりに受け取ってしまいがちです。具体的な指示がないと、その場でどう行動すべきかが理解できなくて、不適切な行動をとることがあります。

 学業では文章題の意味を読み取れなかったり、作文や感想文で何を書いてよいのかわからなかったりして学習上の困難を生じることがあります。

 変化に対応することが苦手で、急なスケジュールの変更があると不安に陥り、パニックを起こすこともあります。物体の一部に熱中する、特定のゲームにこだわるといった、興味や関心の範囲の偏りや、物事の順番や場所、道順など習慣へのこだわりがみられます。

 知覚過敏のために偏食になったり、大きな音を怖がったり、大声を出されることを嫌ったりします。

検査と診断

 症状や、それに伴う日常生活や社会生活上の困難をもとに診断します。年齢や環境によって表に出る症状が変化することがあり、また異なる発達障害の特徴を併せもつ場合もあります。

 重要なことは、その子自身が何に優れていて、何が苦手で、どんな魅力があるのか、日常生活や社会生活において何に困っているのか、を知ることです。

治療の方法

 広汎性発達障害は、成長とともにその特徴が目立たなくなることはあっても、治癒するものではありません。子どもや家族が抱えている生活上の困難に対して個別に対応を考えていくことが大切です。何かを教えたり伝えたりする時には、その子どもにとってわかりやすい方法を工夫する必要があります。

 実際の生活のなかでどの場面でどんな困難が生じたのか、個々のエピソードをもとに対処法を考えていくとよいでしょう。たとえば「ちょっと待って」と言われると、いつまで待ってよいのかわからなくて不安になる子どもには「5分だけ待って」「3時になるまで待って」と具体的に指示すると落ち着いて待っていられるかもしれません。ほかに応用行動分析を利用した教育法や、ソーシャルスキルトレーニングなどを利用して、場面に応じた適切な行動のしかたを教育する方法があります。

病気に気づいたらどうする

 相談場所としては医療機関(小児科医、小児神経専門医、児童精神科医、臨床心理士など)のほかに、地域の相談窓口として保健所、児童相談所、発達障害者支援センター、精神保健福祉センターなどがあります。

関連項目

自閉症(自閉性障害)

(慶應義塾大学医学部小児科学助教 関口進一郎)