子どもの病気
先天性食道閉鎖
せんてんせいしょくどうへいさ
Congenital esophageal atresia
初診に適した診療科目:小児科 小児外科
分類:子どもの病気 > 新生児の病気
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どんな病気か
先天的に食道が閉鎖し、多くは気管にも異常を認める病気です。さまざまな病型(Gross分類、図1)があり、Gross C型は上部食道が閉鎖し下部食道と気管の間に交通(気管食道瘻)があるもので、約85%を占めます。緊急手術が必要な代表的な新生児外科疾患です。
原因は何か
気管と食道の発生異常(気管と食道の基になっている組織の分離障害)からきた先天奇形で、染色体異常に合併する場合もあります。
症状の現れ方
羊水過多や胎児エコー(超音波)上、胃が小さいことから出生前に診断される場合もあります。出生後の症状としては、泡沫状唾液の嘔吐や気道閉塞によるチアノーゼが認められます。
検査と診断
胃管が上部食道でコイルアップ(胃管の反転)することでほぼ診断がつきます。コイルアップした位置により食道閉鎖の部位が推定できます。また、胃泡の大きさが型分類に役立ちます。
合併奇形を認めることが多く、VACTER症候群(脊椎、肛門、心臓、食道、橈骨、腎奇形を合併)が有名です。18トリソミー(コラム)などの染色体異常症の1症状のことも少なくありません。
治療の方法
Gross C型では、唾液の誤嚥、気管食道瘻による肺炎、腹部膨満が問題になります。上体を起こし、食道の上端部へ吸引チューブを挿入して間欠(または持続)吸引を行い、肺炎の治療を行います。根本的な治療法は手術であり、心奇形と出生体重によりリスクを分類し、一期的に根治手術を行うか、分割手術(胃瘻の造設のみ行い、時期をずらして根治手術へ)を行うか決定します。術後は縫合不全や食道狭窄などに注意が必要です。
病気に気づいたらどうする
出生前診断で疑われた場合は、新生児外科治療の可能な施設での分娩が望まれます。出生後に診断された場合は、同様の施設への緊急搬送が必要です。
トリソミー
どの細胞にも父親由来と母親由来の相同な染色体が2本(1対)ずつありますが、これを相同染色体といいます。相同染色体が1本余分にあるものをトリソミー、1本足りないものをモノソミーといいます。たとえば21トリソミーというのは、21番染色体が3本あることです。どの染色体でもトリソミーやモノソミーは起こりえますが、多くの場合は流産し、出生に至るものは常染色体では13トリソミー、18トリソミー、21トリソミーです。
ある染色体の一部分のみ余分にあったり、あるいは足りなかったりすることを部分トリソミー、部分モノソミーといいますが、これはほとんどすべての種類の染色体で報告があります。ひとつの体に正常の細胞とトリソミーまたはモノソミーの細胞が混在することもあり、この状態をモザイクといいます。