子どもの病気
新生児肺炎
しんせいじはいえん
Neonatal pneumonia
初診に適した診療科目:小児科
分類:子どもの病気 > 新生児の病気
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どんな病気か
新生児肺炎について明確な定義はありません。おおまかに新生児期に発症する先天的、または後天的な肺の感染症とします。全出生児の約2%が肺炎にかかるとか、新生時期に積極的治療を必要とする感染症の10〜20%が肺炎であるともいわれています。
感染経路と原因菌
原因になっている細菌やウイルスおよび感染経路などを確認することは必ずしも簡単ではありませんが、一般的には以下のようなものが知られています。
①経胎盤感染
原因になる細菌やウイルスが母親の血液のなかを流れ、胎盤を経由して胎児肺に侵入し肺炎を引き起こします。梅毒、リステリア菌、風疹、サイトメガロウイルス、トキソプラズマなどが原因として知られています。先天性肺炎の場合、出生直後から数時間以内に発症します。
②上行性羊水感染
腟から子宮方向への上行感染により胎児の周囲にある絨毛や羊膜に炎症を起こし、汚染された羊水を吸い込むことにより肺炎を発症します。B群溶血性連鎖球菌、大腸菌、腸球菌、インフルエンザ桿菌、リステリア菌、ウレアプラズマなどが原因として知られています。分娩予定日よりも数週間以上早く生まれたり、破水が早い時期に起きたり、分娩が長引いたりすることが危険因子になるといわれています。
③経産道感染
分娩時に腟に存在するB群溶血性連鎖球菌、大腸菌、クラミジア、ヘルペスウイルス、カンジダなどの細菌・ウイルス・真菌に接触したり、吸い込んだりすることにより生後数時間から数日以内に発症します。
④出生後の水平感染
分娩に関係しない出生後の感染で、黄色ブドウ球菌(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌を含む)、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(表皮ブドウ球菌など)、大腸菌、緑膿菌、セラチア菌など、施設により菌種は異なります。低出生体重、長期入院、人工呼吸器などのライン留置、重い基礎疾患などが危険因子になります(人工呼吸器管理をされている新生児が肺炎を発症する頻度は約20〜30%とされている)。
症状の現れ方
多呼吸・呻吟(うなり声)・陥没呼吸(息を吸い込む時に助骨の間や胸骨の下がへこむ呼吸)などの努力性呼吸、無呼吸、チアノーゼ、頻脈、哺乳不良、腹部膨満、手足の血液のめぐりが悪くなる、アシドーシス(コラム)、低体温、出血傾向(新生児出血傾向)などがあります。いずれも肺炎だけに特有なものではないため、その他のさまざまな疾患と区別する必要があります。
検査と診断
新生児肺炎をひとつだけの検査で断定することはできません。臨床症状と白血球の異常増加または減少、CRP(炎症を示す反応)の上昇、血小板の減少、胸部X線検査などを組み合わせて診断します。
治療の方法
適切な抗生剤、抗ウイルス薬、抗真菌薬の投与と補助療法としての呼吸器管理、循環管理、交換輸血などがあります。また、特殊な治療法として一酸化窒素吸入療法や膜型人工肺を必要とすることもあります。
アシドーシス
血液中は肺や腎臓のはたらきによって中性よりややアルカリ性の状態に厳密に保たれ(この状態でちょうど細胞内が中性になる)、細胞の活動性が維持されています。この状態を逸脱して酸性に傾いていくことをアシドーシスといいます。
アシドーシスは、呼吸性アシドーシスと代謝性アシドーシスに分けることができます。呼吸性アシドーシスは、呼吸器系の疾患や呼吸中枢、呼吸筋の異常により、二酸化炭素が排出できず体内に蓄積することによって生じます。代謝性アシドーシスは体内に過剰な酸性物質が作られたり、酸性物質の排出が悪くなったり、中和するアルカリ物質が減少することによって生じます。
新生児期にアシドーシスを来す疾患は極めて多様ですが、いずれにしても何らかの治療を必要とするため、症状や検査結果などからできるだけ早く原因になっている疾患をさがす必要があります。治療として、元の疾患に対する治療が必要なことはいうまでもありませんが、呼吸性アシドーシスに対しては呼吸のサポートが必要になりますし、代謝性アシドーシスに対しては重炭酸(メイロン)による補正などが必要になります。