子どもの病気

脊椎骨折

せきついこっせつ
Spinal fracture

分類:子どもの病気 > 新生児の病気

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 脊椎はいわゆる「背骨」であり、そのなかに神経の束である脊髄が入っています。脊椎骨折で問題になるのは、骨折によって脊髄が損傷を受けた場合で、損傷としては裂傷、浮腫(むくみ)、うっ血、出血などがあります。多くは骨盤分娩の際に頭部の娩出が遅れ、強く引っ張られた時に起こります。この時には骨折だけでなく脊椎の脱臼も起こることがあり、同様に脊髄損傷の原因になることがあります。損傷の多くは頸部から胸部(下部頸髄から上部胸髄)に起こります。

 症状はどの場所の脊髄が損傷を受けたかで異なりますが、多くは出生直後から呼吸障害を伴います。損傷した場所が胸髄の上部で、しかも障害の程度が強ければ死産となるかあるいは出生直後に死亡します。障害を受けた場所が低いか、あるいは程度が軽ければ生命の危険は少ないのですが、足の弛緩性麻痺や排尿障害、排便障害が生じることが多くなります。

 治療は、脊椎脱臼があれば整形外科で手術を行いますが、脊髄損傷そのものは治せません。呼吸障害に対する補助、麻痺に対するリハビリテーション、排尿や排便の補助などの対症療法になります。

(新潟市民病院総合周産期母子医療センター新生児科副センター長 佐藤 尚)