膠原病と原因不明の全身疾患

免疫の仕組みと感染防御

分類:膠原病と原因不明の全身疾患

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 免疫とは、一度かかった病気には二度とかからなくなるという概念に始まった言葉で、専門的には獲得される抵抗力すなわち獲得免疫を意味しますが、一般には自然に最初から備わっている抵抗力すなわち自然免疫も含めて考えられています。

 獲得免疫は抗原特異的(特定の抗原に対して反応する)で、未知の抗原に対して得られた免疫はその抗原の2度目の侵入に対して有効にはたらきますが、他の抗原に対しては、あらためて未知の抗原としてはたらきます。獲得免疫の中心となる因子は抗原特異的な因子であり、抗原レセプターをもつT細胞、B細胞、そしてB細胞が作る抗体が相当します。

 抗原の侵入に対して、その抗原に対応する、機能的にも成熟したT細胞・B細胞が形成されるようになります。したがって、二度目の抗原の侵入に際しては、より多数の、より成熟したT細胞・B細胞が対応するので、より早く、より強い反応が生じます。このような獲得免疫ができあがるには、細胞増殖や細胞成熟といったさまざまな過程をへる必要があり、ある一定の時間を必要とします。

 一方、自然免疫には、以上のような抗原特異性はありません。これらの仕組みは、ただちに相手を排除するような反応を起こすので、獲得免疫が機能を発揮するようになるまでの初期防御に重要な役割を果たしています。自然免疫を担っている因子としては、粘膜面に存在するデフェンシン、ラクトフェリンといった分子や、好中球、マクロファージ、NK細胞、補体などがあります。

 最近の研究によると、自然免疫においても、自己と病原体を識別する巧妙な仕組みが備わっていることが明らかにされてきました。また、自然免疫と獲得免疫がおのおの独立して機能するのではなく、相互に助け合って感染防御にあたることがわかってきました。たとえば、自然免疫が獲得免疫を獲得する引き金になったり、特異的免疫反応の結果である抗体やT細胞のはたらきが、自然免疫の増幅に関係したりすることが、明らかとなっています。

(京都大学大学院医学研究科発達小児科学教授 平家俊男)