皮膚の病気

抗ヒスタミン薬

分類:皮膚の病気

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 ヒスタミンはヒスチジンというアミノ酸から合成される活性アミンの一種で、動物、植物の両方に広く存在しています。動物では、アレルギーやショックなどの症状を起こす主要な物質です。リンパ球などの白血球を活性化して炎症にも関係します。

 皮膚や小腸、肺などの臓器ではマスト細胞に含まれており、免疫グロブリンEという抗体と抗原の結合により分泌されます。

 ヒスタミンは、皮膚では毛細血管の拡張や浮腫、かゆみを起こし、この反応がアレルギーの症状となります。ヒスタミンが多量に分泌されると血圧が下がり、ショックとなります。これらの作用は、ヒスタミンH1受容体にヒスタミンが結合して起こるもので、この作用を止める薬が抗ヒスタミン薬と呼ばれています。

 じんま疹や湿疹などかゆみを伴う疾患に対して十数種類の抗ヒスタミン薬が治療に使われています。

 ヒスタミンは脳内では神経伝達物質として覚醒のはたらきがありますが、古いタイプの抗ヒスタミン薬は、脳内へも浸透しやすく、脳内でのヒスタミン抑制作用を示します。このため、抗ヒスタミン薬を服用すると眠気やふらつきなどの副作用がでてきます。また、抗ヒスタミン作用以外にコリンなどの神経伝達物質に対しても抑制作用を示し、このため口が渇くなどの副作用がでる場合もあります。しかし、新しい抗ヒスタミン薬はこうした副作用が少なく安全性が高まっています。

(島根大学医学部皮膚科教授 森田栄伸)