内分泌系とビタミンの病気

微量金属欠乏症

分類:内分泌系とビタミンの病気

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 ここでは、亜鉛および銅の2種類について概説します。

亜鉛欠乏症

 亜鉛は、生体内で多くの酵素の構成成分として作用しています。先天的に腸からの亜鉛の吸収障害がある腸性肢端皮膚炎の患者さんでは、痂皮(かさぶた)を伴う皮膚炎、脱毛、難治性下痢、発育不良や免疫力の低下がみられます。

 また、健康な人でも軽度〜中等度の亜鉛欠乏が生じると、味覚異常が生じることがよく知られています。

銅欠乏症(メンケス病)

 メンケス病は、先天的に腸からの銅吸収障害がある病気です。特有な縮れた毛髪をもち、けいれん、筋肉の緊張低下や精神・知能の遅れなどが生じます。

 治療法としては、注射による銅の補充を行います。軽症例には有効な場合がありますが、重症の場合は予後が不良で、ほとんどの患児が3歳ころまでに死亡します。

(東北大学大学院医学系研究科先端再生生命科学教授 菅原 明)