内分泌系とビタミンの病気

骨粗鬆症

分類:内分泌系とビタミンの病気

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骨粗鬆症とは

 骨は骨吸収と骨形成を繰り返し、絶えず一定の割合で新しい骨に置き換えられています。この吸収と形成のバランスが少しでも崩れて骨吸収が優位になると、長い間に骨量は低下し、病的な骨折を起こしやすくなります。このように骨量が低下し、骨の質が悪くなって骨折を起こしやすくなった状態が骨粗鬆症です。

骨粗鬆症の原因

 骨粗鬆症にはさまざまな要因があります。骨粗鬆症になりやすい主な危険因子としては加齢、カルシウム摂取不足、運動不足、やせ、喫煙、過度の飲酒などがあります。

 明らかな基礎疾患がないものを原発性骨粗鬆症と呼びますが、これには女性ホルモン(エストロゲン)の低下によって起こる閉経後骨粗鬆症と、加齢に伴って起こる老人性骨粗鬆症とがあります。

 一方、何らかの基礎疾患が原因で起こるものを続発性骨粗鬆症と呼びます。続発性の原因には、さまざまな内分泌疾患やステロイド治療、胃切除後などがありますが、副甲状腺機能亢進症もそのひとつです。副甲状腺機能亢進症などによる骨粗鬆症の場合には、骨代謝が活発になり骨吸収も骨形成も亢進した状態になりますが、骨吸収が勝るために骨粗鬆症になります。

 同じような病態は、閉経後や甲状腺機能亢進症による骨粗鬆症の場合にもみられ、高骨代謝回転型骨粗鬆症と呼びます。

骨粗鬆症の診断

 骨粗鬆症は、骨量の低下の程度と病的な骨折の有無により診断されます。骨量を調べるには、DXA法と呼ばれる方法が最も簡便で信頼できます。最近では、上腕で測定する簡易型の測定器が普及しており、健康診断などにも用いられています。

 骨折を調べるにはX線写真をとる必要があります。通常、骨折の頻度が高く、無症状で起こることも多い胸腰椎を調べます。また、血液・尿の骨代謝マーカー検査は、現在の骨代謝の状態を把握するのに用いられ、治療薬の選択や治療効果の判定に役立ちます。

骨粗鬆症の治療

 現在用いられている骨粗鬆症治療薬のうち、最も確かに有効性が得られるのはビスフォスフォネートという骨吸収抑制薬で、アレンドロネート(フォサマック、ボナロン)、リセドロネート(ベネット、アクトネル)、などがあります。また閉経後の女性にはラロキシフェン(エビスタ)も有効です。そのほか、活性型ビタミンDやビタミンKなどが骨粗鬆症治療薬として用いられます。

(帝京大学ちば総合医療センター第三内科准教授 井上大輔)