内分泌系とビタミンの病気

甲状腺の手術

分類:内分泌系とビタミンの病気

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 甲状腺の手術が必要になる病気の主なものは、甲状腺がんとバセドウ病です。

 甲状腺がんといっても、日本では乳頭がんあるいは濾胞がんという悪性度の低いがんがほとんどなので、腫瘍の部分を含む側葉の切除あるいは全摘に準じた摘出を行って、周囲のリンパ節を郭清する手術が行われます。一方、バセドウ病では甲状腺のサイズを縮小させることが目的なので、一葉は全摘して一葉は約3g残すか、両葉ともに2g程度残します。

 いずれも基本的には安全な手術ですが、反回神経を傷つけると嗄声(しわがれた声)になり、また副甲状腺を取ってしまうとカルシウムが低下して、テタニーという腕や手などに起こるけいれん発作などの合併症が生じます。

 また、首の中央に手術の跡が残るので、最近はそれを避けるために頸部小切開法や内視鏡下手術などの体への負担が少ない手術も行われています。

(医療法人社団白寿会田名病院理事長・院長 阿部好文)